hitomi
『ロリータ』で容易く挫折して以来の苦手意識を抱えたまま(『カメラオブスクーラ』『絶望』のウォーミングアップを挟み)儘よ!と読み始めた大作『賜物』は案の定苦戦を強いられ第1章すら読み切る自信がなかった。ところがいつしか忍耐が陶酔に変わり、人物描写のユニークさに引き込まれ、幻夢の如く蝶が飛び交い光刺す美しい自然の風景やベルリンの都市の不穏なざわめきに心震え、何より文学への熱い想いが私の胸を刺す。ナボコフ特有の言葉の仕掛けを見落とそうと、文学史の素養がなかろうと十分に文学の醍醐味を味わうことができた。素晴らしかった!
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ロシア文学
- 感想投稿日 : 2015年7月6日
- 読了日 : 2015年7月6日
- 本棚登録日 : 2015年7月6日
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