東北の地方都市。3つの町が合併してでできた人口12万人のゆめの市。国道沿いの大型ショッピングセンター「ドリームタウン」が唯一の盛り場で、昔からある商店街はシャッター街と化している。
この町で暮らす5人の群像劇。
県庁からゆめのの社会福祉事務所に出向になり、生活保護支給業務を担当する相原友則。
卒業後はゆめのを出て東京での大学生生活を送りたい女子高生の久保史恵。
詐欺まがいの商品を売りつけるセールスマン、暴走族あがりの加藤裕也。
スーパーの保安員をしながら新興宗教にのめり込んでいる堀部妙子。
親の地盤を引き継いで市議会議員になった山本順は県議会議員になるつもりでいる。
5人はそれぞれ ゆめの市に不満や不安を持ちながら生活を送っている。
増え続ける生活保護申請者に辟易し「いずれ県庁に戻るんだし」と仕事をサボり女を買う者。「卒業後にゆめのに残るのは不良か地味な奴だけ」と同級生を心の中で見下している者。老人をだまし詐欺を働きながらも「俺が立派に家族を養ってる」と勘違いする者。
なんてクズな生活なんだ!と思いながらも、この5人を というかゆめの市民をこうさせているのは、閉鎖的でただ錆びれていくだけのこの土地がそうさせているんじゃないかと。 景気も良くならない。行政もアテにならない。何度も作中に出てくる空の描写はいつも分厚い雲に覆われたグレーな空で 気分が塞がる。まるでゆめの市。この町で夢や希望を持てというのはとても「無理」だと思わせる。合併後にできた『ゆめの(ドリームタウン)』という名前とのギャップもまた悲哀を感じる。
5人の人生はどんどん悪い方へ転がり落ちていく。ノンストップに!スピーディに!
少し前の言葉で言えば「無理ゲー」。
終盤 少しづつ絡まり合う5人のたどり着いた先は…。
ラストは賛否両論あるみたいだけど笑
5人まとめて詰んだな。
というより、ここから新たな地獄のスタートなのか。
それとも人生やり直せるのか。
- 感想投稿日 : 2023年10月3日
- 読了日 : 2023年10月3日
- 本棚登録日 : 2023年10月3日
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