下鴨アンティーク 回転木馬とレモンパイ (集英社オレンジ文庫)

著者 :
  • 集英社 (2015年6月25日発売)
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本棚登録 : 1178
感想 : 92

昨日に読んだ桑原水菜氏といい、なんだかコバルトづいてますな~。(*´ω`)

(無量のシリーズは集英社ではないけど)


さて、前作を読んだときに、面白かったけれど続きが気になってどうしようもない!! と、いうほどではないけど、続きがあるなら読みたい・・・。

ちゅうことで、図書館に(ダメ元で)購買のリクエストをした結果、買うてもらえました~!! スゲエ。
それが手元にきました。
最近ちょくちょく言うてるけど、正真正銘の新刊文庫・・・! フンガー!! 香り楽しみ中


ほんで、私の元へ回ってきた瞬間、次の方のリクエストが入っております。
普段ならリクエストをかけられていると延長できないため、
「おお・・・。あせるな・・・」
などと思いつつ読むんだけど、今回はそんなプレッシャー以上に

私以外にも読むという人がいてはって、よかった!!

ちゅう安堵感がすごい。

(自分のためだけに買うてもらったとか、怖くて思えない)

ちゅうわけで、締め切りに追われつつ読みます。
ちゅうてもライトノベルなので、数時間で読めるんやけども!!


でも、ライトノベル侮るなかれ・・・。
最近は「ライトノベルが好き」と、いう嗜好も認められつつあるので堂々といえるけれども、正直
「勇気を出して購買リクエストをしてよかった!」
と、思えるほど、面白かった。

ほんま、コバルトの世界。
コバルトの世界って何って、80年代の少女まんがの世界だよね!?

着物と古書という違いはあれど、古いものからさらに古い人たちの気持ちを読み取る、と、いう展開はビブリアと似てる。
でも、あっちはメディアワークス文庫。こっちはコバルト。

全然、違うのよ~!!


だって、休日は着物で過ごす・・・のは、テーマが着物やからありとはいえ、まず主人公ちゃんが華族の末裔。
ご両親は早くに他界しており、年の離れたイケメン兄がいる。
さらにイケメン兄の友人(もちろんイケメン)も同居している(イケメン兄のイケメン友人もいわくつき)。

イケメン兄のイケメン友人と主人公ちゃんは憎からず思う一歩手前くらいの距離感。

なのに、ガッツガツしていない!! ←超重要

もう何やろ~。少女まんが要素をこれでもか! と、てんこもりにしてくださったと思います・・・!


イケメンイケメンうるさいて。だってイケメンやねんからしゃあない・・・


今回は鹿乃ちゃんと慧だけでなしに、奈緒と加茂の間でもそうやったけれど、自分よりも大切な相手に、幸せが訪れますようにと祈るほどなのに、どうしてそんなにも相手の幸せを願うのかという自分の気持ちの意味は取り上げない。

そこを敢えてどうのこうの言わなくてもそこにはとても眩しい思いがあるのだとわかるけども。
わかるけどもね。
惚れたはれたばっかりじゃないこの「もどかし感」(もう、もどかしくもすらないかもしれへんけど・・・)ですら、乙女やわ!!

お友だちを家に招いて(しかも古びた洋館のテラスね)(どんなんかわからんけど、そういう建物なのよ)、それぞれが手製のスイーツを持ち寄ってお茶会を開くとかいう世界(の妄想)があることを、知らんやろう平成のワカモノは!!

ほんで、そんなお茶会が「うらやましいな・・・」と、思ってしまう年代もいてることを、知らんやろう平成のワカモノは!! 笑

そこに同居しているイケメン兄のイケメン友人がお代わりのポットを持ってやってきてくれるなんて妄想が
「キャー!!」
と、思ってしまうなんて、信じられへんやろう!!


思 う の だ よ !! どーん


スイマセンネェ、ばりばりコバルト世代で。
でもって、
「いつか私もこんなふうに・・・!」
なんてことはケほども思ってない(はずな)のに、小説として読んだらやっぱり
「キャー!!」
と、思ってしまう40才で、ほんま大丈夫なんスかね。ハハハ・・・。←乾いた笑い


しかし、今回は鹿乃を客観的に見た描写がすごい多くて、良かった!!
まさか表題作ですら良鷹の話やったとはー!! 
「顔と頭だけはいい」良鷹、イヤもう何、顔と頭がよかったらほかに何もいらんやろ(そこそこ家事もできてるし)。


ほんで、今更やけど、アンティークとヴィンテージの違いも明記されてたー。
アンティークは百年を超す品、ヴィンテージは百年未満かつ1960年から70年代以前なんだそうだ。
ヴィンテージもそうとう古そうやけど、こうやって訊くとそうでもないね。

でもってこの作品に登場する「アンティーク着物」は、なんじゃいなと思ってたけど、ようは昭和初期ごろまでのものなんだそうだ。
華族というのもあるんやろうけど、昭和初期でこんなにお洒落な着物があってんねえ・・・。


相変わらず装丁がすっごいきれい(そこまた心をくすぐるのね・・・)。

鹿乃にしろ、良鷹にしろ、「陽」の人なのかな。
今回は奈緒ちゃんが「梅雨が好きな理由」に、ハッとしたよ。
霞んだ世界が、ヴェールがかかってるようで好きなのだそうだ。抜けるような青空には、うしろめたさを感じるんやって。
・・・なるほどなあ・・・。

(まあ、洗濯ものが乾かない・・・! とか、そういう庶民的なことはまったく抜きにすると、確かに雨の日も悪くない)


(引用を読んで)もしかして、「受け付けない人」と、大丈夫な人との境目って、そういうことなんかも。

好きなもの、きれいなものを共有したいと思うってことは、「好き」と軽々しく唱えることよりもっと深い告白なのかもしれへんなあ。男女問わず。


ああ、面白かった!!

では、次巻も読むよ!! (なんと二冊も購買リクエストをしました)


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■様子がいい

よう‐す〔ヤウ‐|ヨウ‐〕【様子/容子】

《「す(子)」は唐音》

2 身なり。なりふり。「―のいい人」


■堆朱(ついしゅ)

彫漆の一。朱漆を何回も塗り重ねて厚い層を作り、これに文様を彫刻したもの。特に宋代以降盛行し、日本には鎌倉時代に伝来し、室町時代以降に制作が始まった。中国では剔紅 (てきこう) という。


■篠突く雨(しのつくあめ)

雨が、篠竹の竹林のように、強く細かく高密度で降るさま。激しい雨の様子。


■秋波(しゅうは)

1 美人の涼しい目もと。また、女性のこびを含んだ目つき。流し目。色目。「―を送る」
2 秋のころの澄んだ波。

秋波を送る
異性の関心をひこうとして色目を使う。こびを送る。「向かい側の男性に―・る」

(2016.07.03)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年9月19日
読了日 : 2016年7月3日
本棚登録日 : 2016年9月19日

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