面白かった。本当に面白かった。「面白かった」では足りない読了感がある。ずっとこのシリーズを読んできてよかったなあと思った。最初は、レーベルと表紙や装丁のかわいらしさに惹かれて手にしただけやったの。
著者の文章が好きやなあ…。
このシリーズは数年かけて読んだけど、これほど文章を好きと思ったのはここ最近になってからかも。
今の私は、著者の作風と文章を求めているんやろうな。
とにかく丁寧な世界観に、こんなふうに生きたいなと思う。
広くない世界でもその世界を丁寧に生きていればこんなに幸せなんやなあと思った。
情報過多で、すぐ他人と比較できる世の中は、それはそれで進化していけるのかもしれへんけど、そろそろわたしも、そういう進化より自分の身の回りの物事を愛でたいなと思うようになってきた(のかもしれない)。
身の回りの物事を愛でることは進化をやめることではないし、新しいものを取り入れることをやめることでもないわけやし…。
今回の話は、シリーズ最終巻というだけあって、これまで以上に鹿乃ちゃんの周囲の面々を主軸にした話やった。とくに良鷹さんかな。たしかに、若隠居みたいな彼はちょっと救われない(?)ところがなくもない。大人としては、良鷹さんみたいな役どころはめっちゃ好きやけども。笑
そんな彼にも幸ちゃんという新しい出会いがあって、新しい世界が広がっていくんやねえ。
身の回りの物事を大切にしているから、新しい出会いがあって世界が広がっても根っこは変わらないんやねえ。
そういうのが、いいなと思えた。
著者の別タイトルも予約しよう。わたしも長い時間をかけて、ゆっくり追っていきたいかもしれない。
やわらかい内容とやわらかいひとたち。物語に対しても作中もぜんぶ「まじめ」な筆致なのに、どこかほんのりとアダルトな気配も感じた。
そういうところも、なんだか、ドキドキしたね。笑
- 感想投稿日 : 2020年11月29日
- 読了日 : 2020年11月29日
- 本棚登録日 : 2020年11月29日
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