所有している銀河鉄道の夜とはかなり違う初期のものを読めてうれしかった。色々最終稿(?)ではわからなかったところが、詳らかに書かれていて、作品理解がかなり深まりました。
「するといきなりジョバンニは自分というものがじぶんの考というものが、汽車やその学者や天の川やみんないっしょにぽかっと光ってしぃんとなくなってぽかっとともってまたなくなってそしてその一つがぽかっとともるとあらゆる広い世界ががらんとひらけあらゆる歴史がそなわりすっと消えるともうがらんとしたただもうそれっきりになってしまうのを見ました。だんだんそれがはやくなってまもなくすっかりもとのとおりになりました。」(p.324)
キリスト教的なモチーフの多い作品だけれども、ここなんかとっても仏教的。賢治のメッセージを感じます。
風野又三郎も風の又三郎より好きです。メッセージがはっきりしていてわかりやすい。詩的感覚が恐ろしく乏しい私の様な人間にはこれくらいあからさまなほうがありがたいです。
確かに彼の文章は当然校正前の生硬なものだけれど、「ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記」なんてタイトルから声に出して読みたい、音に関して言えば第一級の天才だなあと感じる次第です。賢治作品は声に出して子供に聞かせたい。というのを実践しているのがにほんごであそぼなんでしょうな、と思ったり。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
教養作品
- 感想投稿日 : 2014年1月1日
- 読了日 : 2014年1月1日
- 本棚登録日 : 2014年1月1日
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