発行される新刊の数、年間8万点。返品率は平均4割。売上金の入金は発行から7か月後。書籍、雑誌の売上は年々下降線をたどる一方。1タイトルあたりの売上が落ちた出版社は、新刊の点数を増やすことで増益を狙うが、その殆どは「売れない新刊」でしかない。
これはここ20年程の出版業界が罹っている『死に至る病』。紛れもない出版不況の現実。
古い流通制度は経年劣化をおこし、マーケティングは弱い。なにより働いている人の頭の中が古い。
この業界はすでに死に体なのか?
イシマル書房もまた、経営不振を理由に親会社から最後通告を受けている小さな出版社だ。そこにインターンとして採用された絢子が、ベテラン編集者、元ヤン営業マン、全国の書店員、そして一旦は表舞台から姿を消したいわくつきの作家と、起死回生のベストセラー小説の出版を目指す。
目標売上、7千万。――粗利は増刷から約4割。1,300円のハードカバーを15万部。1年で5点発行、それぞれ3万部を売り上げる。
無理難題だが、それを可能にする秘策とは!?
生き延びる――その言葉をテーマに、身売り寸前まで追い詰められた小さな出版社が仕掛ける起死回生のプロジェクトを、新人編集者の視点から描くお仕事小説。
作家や編集、装幀家などの本の作り手と、書店員や営業マンなど、売り手の顏が見えてくる一冊。
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作家名:は行(その他)
- 感想投稿日 : 2018年7月28日
- 本棚登録日 : 2018年7月23日
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