プードル・スプリングス物語
著者:レイモンド・チャンドラー
ロバート・B・パーカー
訳者:菊池 光
発行:1990年5月15日
早川書房
先日、ローレンス・オズボーンというイギリス人作家が書いた72歳のフィリップ・マーロウもの「ただの眠りを」を読んで、再びレイモンド・チャンドラーを読みたくなった。「ただの眠りを」はチャンドラーの遺作ではなく、全くの創作だったけど、この「プードル・スプリングス物語」は全41章中、最初の4章のみをチャンドラーが書いていて、残りを、チャンドラーの代表的研究者で人気ハードボイルド作家だったロバート・B・パーカー(2010年没)が引き継いで書いた作品。1989年の作で、発売当初に読んだはずだが、読み返してみるとほとんど記憶がなかった。その分、新鮮だった。
フィリップ・マーロウシリーズとして有名な1作「長いお別れ」で、マーロウは富豪の娘と結婚をしたが、プードル・スプリングスという金持ちばかりが住む街で2人の生活を始めるところから物語は始まったが、すぐにやっかいな依頼が舞い込んでくる。お金に困らない妻が止めるのにもかかわらず、彼はみすぼらしい事務所で私立探偵を続けるつもりだったのだ。
事件は、やはり富豪の娘と結婚したカメラマンを探し出すという依頼でスタートする。借金して姿を消した逆玉男。それに対し、マーロウは「妻は金持ちだが自分は貧乏だ」と言い続け、義父からのビジネスの誘いも断る。彼はすぐに逆玉男を見つけ出し、彼の情けなさや罪深さを知るが、人を殺せるような人間でないこともすぐに見抜く。実は、周囲の金持ち連中の方がよほど残酷であることが描かれていく。
若い頃にあれだけ読んだチャンドラー、本もほとんど残っていないし、話の中身もほとんど記憶にない。とりあえず、次はこの物語で結婚生活を始めることになった「長いお別れ」を読み返してみるべきかもしれない。そして、今回の物語を含めて、忘れないうちに粗筋を書き留めておこうか。何の意味があるのかよく分からないけど。
***ここは読まないでください(読んでも構いませんが)****
自分のためのメモ(ストーリー)
長いお別れで出会った大富豪の娘リンダと結婚したマーロウは、高級リゾートタウンのプードル・スプリングスに新居を構えたが、町外れに私立探偵事務所を開いた。「金持ちなのは妻で、俺は貧乏」と彼は主張し、仕事をし続ける必要を訴える。
早々にカジノ経営者のリピイからの依頼。賭けの謝金を払わずに逃亡したカメラマンを探し出すこと。でないと、リピイはボスの金持ちから命を奪われるとのこと。ボスとは、クレイトン・ブラックストーンであり、その娘はミュリエル・ヴァレンタイン(マフィ・ブラックトゥン)、そして、逃げているレス・ヴァレンタインは彼女の夫だった。
レスは本名がラリイ・ヴィクターといい、ロサンゼルスでカメラマンをしていて、なんとミシェルという妻がいる。つまり重婚者。
彼はトップモデルのソンドラ・リーはじめ、無名時代にポルノ写真を撮って、それで有名になってからお金をせびっていた。マーロウはすぐにレスを探し当てるが、彼がローラ・フェイスフルという女から1枚の写真で脅されていることを知る。
そのローラが殺された、そして、リピイも殺された。ローラは、プードル・スプリングスの妻であるミュリエルのポルノ写真を入手して彼を脅していたのだった。その写真も彼の撮影したもの。
依頼者のリピイ亡き後、今度はクレイトンからの依頼でレス(ラリイ)を探し出すことになったが、ローラとリピイ殺しを疑われて警察から追われている彼を逃がしたのは実はマーロウだった。マーロウは本当は彼が犯人ではないかと疑い始めたりもするが、最後、殺人犯はミュリエルであることを突き止める。そして、ミュリエルは父親を殺し、ミュリエルは父親のボディーガードに殺される。
マーロウは妻と早々に離婚することになり、以前にオフィスを構えたところに舞い戻って住み始めたが、元妻とは恋愛は続行することになった。
- 感想投稿日 : 2021年3月30日
- 読了日 : 2020年4月13日
- 本棚登録日 : 2021年3月30日
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