日本のデザイン――美意識がつくる未来 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店 (2011年10月21日発売)
3.82
  • (83)
  • (156)
  • (112)
  • (15)
  • (3)
本棚登録 : 1745
感想 : 160
3

建築もデザインも、仕事はおおむねコンペの連続であるから、これくらいではへこたれない。コンペに勝てなくても、全力で考えた思考の成果はアイデアの貯金として蓄積されていく。それがたまればたまるほど、クリエイターとしての潜在力や爆発力は増していくのである。

[車が嗜好品から当たり前のものになり、実用性を優先して設計された似たような四角いデザインばかりになるのについて]
これを寂しいと感じるか、ものに対するふさわしい認識が成熟したと見るかは難しいところだが、大事なことは、そこに他の文化圏にはないオリジナリティが生まれている点である。

日本の車でユニークなもので共通意見
ダイハツのタント

ガソリンエンジンから電気自動車
ドライブ系→モバイル系
行くという能動性・主体性、エンジンを制御するという運転の美学
→スムーズに移動するという合理性、トランスポートを最短、最少エネルギーで実現したい冷静な意欲

若者の一人用マシンや歩行を好むベクトルも

ドライブ/モバイル
都市/自然
パブリック/パーソナル

宗教や文学、神話ではなく
物の表面に偉容をなす細部を付与するための装飾紋様が動物化したと考えるべきである。

阿弥とは、やや乱暴にたとえるなら、優れた技能や目利きの名称を付す「拡張子」のようなものだ。

…長く使う構造体スケルトンと、可変性のある内装インフィルを分けて考え、良質なスケルトンを吟味して入手し、インフィルを自分の暮らしに合わせて徹底改修すればいいのである。

伝統的な工芸品の再興に対して
…問題の本質はいかに魅力的なものを生み出すかではなく、それらを魅力的に味わう暮らしをいかに再興できるかである。

スピーカーは音響空間へ
テレビは壁の中に埋まるか、より存在を主張するか
照明器具は天井化
環境は静かに人や身体と交感を始めるのだ。

石元泰博
モホリ・ナギ『ヴィジョン・イン・モーション』
ゲオルグ・ケペシュ『視覚言語』

働きアリと怠けるアリ

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 美学芸術学
感想投稿日 : 2022年1月15日
読了日 : 2022年1月8日
本棚登録日 : 2022年1月8日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする