塗仏の宴 宴の支度 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社 (1998年3月27日発売)
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本棚登録 : 3039
感想 : 203
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 個人的な百鬼夜行シリーズ再読キャンペーン6冊目。
 鵼の碑読了を期に、もう一度初めから読み返そうとしたものの、どこに置いたものやら過去作が見当たらず、仕方なく近所のブックオフでも行ってみるかと思い立ち、京極夏彦コーナーに赴いたものの数が少なく、とりあえず目に付いたものを買ってきた。で、塗仏の宴まで来たところで、上下で買ってきたら中があって、仕方なく電子書籍で購入して読み終わったものの、どうもしっくり来なくて改めて確認したところ、なんと上だけ「宴の始末」だったという体たらく。いや連作短編だし繋がってない気がするのも、まあそういうもんかと思った、という言い訳。上だけ買うかとも思ったけど、確実に、ということでノベルス版を。
 さて、ということでようやく本筋の感想。塗仏の宴に関しては全くというほど記憶に残っておらず、なんでだろうと思っていたのだけど、再読して、なんとなく原因が分かった。いつもにも増して混迷で胡乱な京極節が炸裂しており、一つ一つの事件が小粒な連作短編ということもあって、余計に記憶に残りにくくなっていたのかなと。どことなくとっ散らかっていたように感じられるのは、「そういう風に」デザインされているからだと思う。ただ、重厚長大な京極文でやられると、流石に記憶は雲散霧消しちゃうのだな。
 あと、絡新婦の理の感想で書き忘れていたけど、猫目洞のお潤さんがとてもいい。気風が良く賢い姐さんキャラほんと好き。そんなお潤さんだけでなく、狂骨の夢でお気に入りだった朱美さんも登場していたのに記憶に残っていないのは、京極作品の中で多分一番好きな織作茜が最後を締めたのが大きいのだと思う。そして、このあまりにも悲劇的な結末に晒され、それも記憶からこの作品を消してしまった要因かもしれない。サブキャラクターとして、もっと登場してほしかったな……。絡新婦の理から時間を置かずに読んだので、続編としてあの結末に至るのはあまりにも哀しすぎる。
 とりあえず本書を読んで、塗仏の宴がどういうお話だったかは漠然と思い出した。「宴の始末」はノベルス版で準備済みなので、どういう結末だったか楽しみ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・雑誌
感想投稿日 : 2024年1月17日
読了日 : 2024年1月17日
本棚登録日 : 2018年11月13日

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