たぶん僕と宮台先生の関心はかなりかぶっているのだが、出てくる結論やその背後にみられる思想がかみ合わないのに、時代というファクターはどの程度影響を与えているのだろうか?
巻末の上野千鶴子の引用にもあるように、この本で扱われているサブカルチャーは、僕ぐらいの年の人には古めかしいものとして映ると思う。少なくとも僕は、「生まれ落ちた時から世界が不透明であるがゆえに、不透明であることが特にコンプレックスの源泉にならない」人間であるがゆえに、宮台先生が抱いているような問題を体感的に理解することも難しい。ただ、歴史書としての本書は高い価値を持っていて、宮台先生がなぜそのような思想に行き着くかの背景の少なくとも一部を雄弁に説明してくれていると思う。
本書はいろいろと実の詰まった本なので、一読しただけですべてを論じるわけにはとてもいかない(そもそもこのような気軽にコメントだけ残すような場で真剣に論じるということはどの本であっても困難を極めるが)。
ただ、巻末の上野千鶴子の解説は非常に良い点をついているとはいえる。今までろくに著作も読まずに「ジェンダーおばさん」とステレオタイプしてきたが、これから機会を見計らって彼女の著作に手を出すのもありかもしれない。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
何度か読み返したい本
- 感想投稿日 : 2012年8月30日
- 読了日 : 2012年8月30日
- 本棚登録日 : 2012年8月29日
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