湊かなえといえばイヤミス。
代表作「告白」を映画で見た時の衝撃と、時を経て原作を手に取った時の衝撃は未だに忘れられない。「あぁ、これが噂のイヤミスなのか」と新人狩りをされた様な気分が心地良かったのは良き思い出だ。
だが振り返ると、そこまで著者の作品を堪能してる訳でなないがイヤミスを体感したのは「告白」だけだったようにも感じていた。著者の作品を手に取る度に「書きたい物と求められている物のギャップ」の温度差を感じるのだ。むむぅ、どこか居心地が悪い。
と、いう事でしっかりリサーチして代表作告白に次ぐイヤミス作品 「リバース」を堪能。
主人公、深瀬和久の恋人の元に『深瀬和久は人殺しだ』と告発文が届く。追求された深瀬は大学四年の夏に仲間と訪れた高原の別荘での悲劇の夜を恋人、越智美穂子に語り始める。
そして告発文の送り主を探し出す中で自身と親友 広沢由樹の繋がりを今一度見直す事となる。彼の辿り着いた真実はとても残酷で、なるほどハッピーエンドとは程遠い着地点だがなぜだかどこか清々しさを感じた。
と、いつも通りストーリーを追って自分なりの解釈を語りたいはずだったのだが、今回はどうも主人公の深瀬に全く感情移入が出来なかった。いや、出来ないだけなら許容範囲だしむしろその方が楽しい事の方が多い。しかし彼のキャラクターと脳内おしゃクソの三人称語りのコンボがどうも合わず...。
おや?なるほどこれがイヤミスなのか...???
珍しく男性主観との事だが、男性が同性に対して抱く嫉妬心や劣等感の表現力が卓越している。つまり不快感を覚えたのは著者の力量故なのやもしれない。
の割にコーヒーの知識や背景描写はややおざなりにも感じた。伏線として機能させるには充分だが、繊細さや丁寧さは残念ながら感じられない。
解説で知ったことだが本書は作成前に編集部からある“ お題 ”が出されており、それに応える形で書き出された作品らしい。
その“ お題 ”が例の最後の一行を既定させていた様だが、まぁなんとアクロバティックな筆さばきだろうか。内容の評価は変わらずともこの後日談にて著者の偉大さを思い知ることとなった。
(*´・ω・`)=3ふぅ
お察しいだだけるだろうが、私は酷評を考えるのが苦手だ。箇条書きみたいな読みずらいレビューとなってしまったがこれからもゆったりまったり著者の作品を追っていきたいと思う。
- 感想投稿日 : 2022年9月6日
- 読了日 : 2022年9月6日
- 本棚登録日 : 2022年9月6日
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