ひらがなでよめばわかる日本語 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2008年5月28日発売)
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感想 : 32

goya626さんのレビューで出会うことができた本です。ありがとうございます。
日本語という言葉の豊かさについて短歌を通して再認識しているところ、レビューで気になってお取り寄せ。万葉学者の著者が基本の日本語で考える「やまとことば」について展開される。「漢字は中国からの借り物」、日本語には外来語由来のものが多いという。「同じ立場や役割をもつものを一つの単語でよび、ものとして、形態が違っていても区別しない」という考え方で進み、最初は戸惑ったが読み進めるにつれて言葉の共通項やこころと自然とのつながりの発見となった。   
『柳田国男は「どんな字病」ほど恐ろしい病気はない』という文言に、どきっとする。「漢字は漢字の素晴らしさがある」一方、「漢字依存が日本語の持つ本来の意味を失われていくことになる」という警告がなされている。
古代の日本人は、「芽(目)を出したり花(鼻)を咲かせたりしながら実(耳)をつけていくかおを、体とは別物として考えていた」。幸福を「心の中に、いっぱい花が咲きあふれるように感じること」と答え、「心は頭の中にあるのではなく内臓の中にあると思っていた」。「歌とは人間と神様が会話を交わすチャンネル」だった。
万葉集などからの美しい歌の引用があり、その韻律に浸れる。
直に逢ひてみて場のみこそたまきはる命に向ふわが恋止まめ(万葉集、中臣女郎が大友家持に贈った相聞歌)
覚書
「み」果実の実 精神的で象徴的な存在 努力して経験を積んだ成果
「さみだれ」「みだれ」に「さ」がついたものらしい もの思いの道具
「いろ」 敬愛や恋愛といった心の自然な働きを表現したことば
「かく」 指を使って何かを示す動作 書く 描く 掻く 欠く 掛く

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文学
感想投稿日 : 2023年3月1日
読了日 : 2023年3月1日
本棚登録日 : 2023年3月1日

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