遠い記憶は夢と同じようなものだ。何もかも朧で曖昧な、静止画が少しずつ仕方なく運動していくような至って頼りない、淡い風景がよく似ている。記憶は冷淡だ。風景が消えないうちに、風景の多くの断片が衰えないうちに、それを大急ぎで回収するような気持ちでランダムに歩いて見た。海が遠くに去った浦安。変わらない新橋・銀座。雑木林がなくなった武蔵野。老衰化の熱海。成功した換骨奪胎の中野。まだ安心の神保町。雨の浅草。変わらない四万十川。守られた珊瑚の海の石垣島の白保。チンチン少年を探した舟浮。灯台の銚子。そして新宿。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ノンフィクション(教養書等)
- 感想投稿日 : 2018年9月24日
- 読了日 : 2018年9月24日
- 本棚登録日 : 2018年9月24日
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