呪われた町(上) (集英社文庫)

  • 集英社 (1983年5月20日発売)
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本棚登録 : 469
感想 : 43
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読んだきっかけ:以前、小野不由美の「屍鬼」を読んだとき、元になった本がスティーブンキングの「呪われた町」とあって、興味を持っていたので。

かかった時間:6/16-6/18(3日くらい)

内容:上巻あらすじ。
主人公(作家)は、故郷のセイラムス・ロットに、帰郷する。新作の執筆をするためと、少年時代のある奇怪な出来事にけじめをつけるためである。
しかし、その怪奇現象のあったマーステン館は、すでに買い手がいた。感じる違和感、深まる疑惑。ヒロインとの出会いの中で、町に連続して死者が出始める。
昔から潜んでいた町の「悪」が、蘇ったのでは…。
主人公は、自分の妄想と現実の狭間で悩む。
そんな中、町の教師が、彼と同じ違和感を感じ始める。教師は独自の嗅覚で行動し、吸血鬼の存在を見てしまうが、襲われて病院へ運ばれる。(下巻へ続く)

※以下、「呪われた町」「屍鬼」のネタバレあり。

さて。小野不由美さんの屍鬼が、どの程度本作を手本にしているのかな、と思って読みましたが、設定の大小こそあれ、多くの作品構成をベースにしていることに驚く。こうなると、映画でいえば、「リメイク」と呼ばれる類であろう。上巻を読んで気づいただけでも、

・都会から隔絶された閉鎖的な田舎町で、ひそかに吸血鬼が暗躍し始める。
・吸血鬼は、人間から招待されてはじめてその家に入ることができる。
・最初の吸血鬼が住むことになる「負の象徴」としての建物「マーステン館」の存在。
・夜間しか出歩けない吸血鬼に対して、日中も動くことのできるパートナーがいること。
・主人公が作家(屍鬼では、主な仕事はお坊さん、兼業作家)
・主人公を助けるパートナーの教師の存在(屍鬼では、医者)

といったところ。
ただし、もちろんですが、細かな背景や心理描写はかなり違うので、リメイク作品として屍鬼を見ることに全く問題はない。

主人公たちの複雑で歪んだ心理描写において屍鬼はなかなか面白いなぁと感じていたが、実際の、リアルな人間の描き方としては、さすがスティーブンキング、えげつなく生々しく、完全に勝っている。呪われた町を読むと、屍鬼の登場人物たちは、物語のためにあえて複雑に歪んで作られた人格のように思える。

とまあ、小説の比較はおいておいて、下巻が楽しみです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ホラー
感想投稿日 : 2013年3月31日
読了日 : 2010年6月18日
本棚登録日 : 2013年3月31日

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