廃屋のホテルローヤル、そこから物語が過去に遡っていく。徹底的な陰の描写。それを象徴するホテルローヤル。登場する人間も陰。しかしながら、陽の当たる部分も見え隠れする。例えば、夫婦で墓参りに行き、坊さんと会えず支払わずに済んだお布施代の5000円。家族で食事に使わず、ホテルで久しぶりのバブルバスと性行為。これが人生の若干の幸せと言う妻。性処理場としてのホテルローヤル、そこに訪れる人間の人生処理、さらに最終的なホテルローヤルの退廃。エネルギーを一瞬見せたが、ほとんどが切なさと暗さ、儚さの象徴のようだった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ノスタルジー
- 感想投稿日 : 2020年12月29日
- 読了日 : 2020年12月28日
- 本棚登録日 : 2020年12月29日
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