単に高貴な貴族の堕ちていく様を描写したのではない、一人の女性の「恋」と「道徳革命」を突き詰めた作品だった。第二次世界大戦後、貴族はその役割が終焉し、その高貴さ故に退廃した日本で生きにくくなる。「思想?ウソだ。主義?ウソだ。理想?ウソだ。秩序?ウソだ。誠実?真理?純粋?みなウソだ」かず子の焦り、それは、母親の死、女性としての生命が腐ってしまうことである。かず子は上原二郎への恋を成就させ、子を授かりたいたいと願う。かず子は上原との子どもに恋をしていたのだろうか?堕ち行く女性の脆さとともに強さも見せつけた。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
不条理
- 感想投稿日 : 2020年7月21日
- 読了日 : 2020年6月20日
- 本棚登録日 : 2020年7月21日
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