歴史小説かと思ったらそうじゃなくて史料を基に事実を再構成した歴史考証だった。西郷吉之助と勝安房の談合で決まった江戸無血開城を中心とした幕末から維新への歴史転回のありさまを精密にたどる。平和主義者の西郷がなぜ強硬に江戸城攻撃に走り、そして直前にそれを翻したのか。著者が西郷びいきだというのを割り引いても、すべては仕組まれた腹芸だったというのがよくわかる。ちょうどいま大河ドラマでこのあたりをやっていて、ドラマなりの目に余る粉飾がまるわかりだ。というわけで著者の洒脱な書きぶりとあいまって史論として興味深いのだが、やはり小説の体で読みたかったなという気もする。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
歴史小説
- 感想投稿日 : 2018年11月30日
- 読了日 : 2018年10月2日
- 本棚登録日 : 2018年11月30日
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