ウォッチメイカー 上 (文春文庫 テ 11-17)

  • 文藝春秋 (2010年11月10日発売)
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 リンカーン・ライムも7作目、シリーズで最も世評の高い作品に到達した。シリーズものは最初から読む主義のために回り道してここまで来たが、もちろんそれは無駄ではなかったし、どの作も面白かった。そしてここへきて第1作の鍵人物の1人が再登場となると、これはやはり最初から読まないとね。しかし弊害もある。ここまでさんざん騙され続けてきたので、ちょっとした引っかけには動じなくなっている。どうやってどんでん返しをしようかと考える作者も大変だ。意外な犯人とか意外な動機とかいろいろあるが、警官や身近な人物が怪しいのはもう常識だし、隠された動機も新味はない。となると、そうだと思わせてこうだ、というのが実は目くらましで、実際にはああだと思ったら結局こう、などと複雑怪奇なことになる。まあ仕方ないか。本作はキャサリン・ダンス登場という触れ込み。たしかに捜査に奥行きが出て成功している。かくして最強チームがさらにパワーアップしたのに、ウォッチメイカーはさてどこへ?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外ミステリ
感想投稿日 : 2021年3月20日
読了日 : 2021年2月24日
本棚登録日 : 2021年3月20日

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