なりたて中学生 初級編

著者 :
  • 講談社 (2015年1月30日発売)
3.73
  • (18)
  • (14)
  • (16)
  • (4)
  • (3)
本棚登録 : 211
感想 : 29
5

小学6年生にお勧めの本を探して出会った1冊。「なりたて中学生 中級編、上級編」の三部作の1冊目です。
6年生児童にもお勧め、親にもお勧めです。

舞台は関西(たぶん大阪)で、鉄男の一人称語りも、登場人物たちの会話も関西弁でポンポン進む、全体的に軽妙で読みやすくて楽しい。
成田は不安でもいじけてしまうことがあっても一人ボケツッコミなので、思春期の深刻な悩みであっても、まあくよくよ考えてもしょうがないというような前向きさも感じる。

隣の学区に引っ越した、というところが微妙で、全く知らない環境というわけでもない、隣だから小学校時代はお互いライバルだった別の小学校の生徒たちのなかに一人で突っ込まれてしまったという心境。

他の生徒たちもそれぞれ中学校生活を始めている。
小学校で仲良かった菱田や小谷もそれなりにスタートを切り、今後自分はどうやって立ち回っていこうかなんて考えたりする。
小学校同士で揉めていた瀬谷小学校出身の後藤は、鉄男がいるのでちょっとびっくりしつつ、まあ中学校では小学校同士の諍い引きずってもなあと適度な距離を保ったクラスメートになりそう。
たまたま知り合った女子二人組のアンリとツグミは、微妙な立ち位置にいる鉄男を丁度いいからかい相手と見定めたようす。

最初はみんな、小学校とは違う学校生活に戸惑いを覚えることもある。
生徒手帳が配られたときには自立の第一歩みたいでちょっと緊張した。
新しく始まる教科も色々ある。数学って算数とどう違うんだろう?技術・家庭科?美術?

鉄男も、小学校の行事にはもう参加できないんだなって思ったり、だから最後にランドセルを背負ってみたり、まだまだなりたて中学生でゆっくり進んでいこって思ったらなんだか楽しくなってきた。

出てくる大人である両親や先生や近所の人たちも鉄男たちのことを子供ではない、でもまだ思春期というほどでもない、ヤングアダルトとして扱ってくれる。
ボケツッコミでノリの良い母ちゃんの言葉もよい。
<中学生になったら、どんどん大きくなって、親にも腹が立つことがぎょうさん出てくる。先生や学校にも不満がでてくる。その不満は、正しい時も、間違っているときもある。けど心がざわついて、イライラしてくるのは、それでええ。
それでええ言うても、私は私が納得行かない時は、これまでどおりテツオを扱う。ただし、だんだん子供扱いをしないようになるから、今までより厳しくなるし、尊重もする。先生方もそうやろうと思う。みんな、中学時代を経験しているからな。P120>

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 中高年生向け
感想投稿日 : 2022年2月5日
読了日 : 2022年2月5日
本棚登録日 : 2022年2月5日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする