現代語訳 南総里見八犬伝 下 (河出文庫 古 1-3)

  • 河出書房新社 (2003年2月5日発売)
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感想 : 20
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下巻感想では登場人物について書いてみる。

八犬士たちは、以下出てきた順で。

【犬塚 信乃 戍孝(いぬづか しの もりたか):孝の玉】
最初に出てきたためか、出番も多く祖父母の代から自分の子供自体の生い立ちまで詳しく書かれる。読者に「犬士たちはこんな感じで出てくるからね」という紹介も兼ねてるのかもしれない。

【犬川 荘助 義任(いぬかわ そうすけ よしとう):幼名額蔵。義の玉】
母は行き倒れ、信乃の叔父夫婦の下男としてタダ働き。信乃とは跡取り息子と下男として出会い、互いが同じ玉を持ち、祖父の代からの宿縁を知り、義兄弟となる。
今後他の犬士たちが出会って義兄弟となって行くのだが、読者に初めて「犬士同士が出会い、自分の宿業を知り、犬士同士で義兄弟となる」を示す例なんでしょう。
犬士として活躍する前に「孤児となり、下男としてこき使われ、主人の仇を売ったら殺人者の濡れ衣で捕縛、拷問され、あやうく処刑されそうになる」という、犬士の中では案外酷い目に合っている。

【犬山 道節 忠与(いぬやま どうせつ ただとも):忠の玉】
初登場時はほとんど山師(笑)。父とその主君の仇を狙い、怪しげな術で金稼ぎ。
「火遁の術」「仇討のため全国巡り」というキーワードで、私の勝手なイメージでおっさんだと思っていたんだが、まだ20歳ちょっとの凛々しい顔立ちの若者だったようだ(笑)。
信乃の許嫁の浜路とは異母兄妹で、瀕死の浜路に再会(ほぼ初対面だけど)し、妹が虫の息で「信乃さまにこの名刀村雨を届けてください」と願うのを「いや、ちょっと仇討に借りる」と一時的に無視するという、実に自分の都合に真っ直ぐな人である(笑)

【犬飼 現八 信道(いぬかい げんぱち のぶみち):信の玉】
足利成氏に仕えていたが、成氏の怒りを買って投獄されていたところ「曲者が城に入った!ひっとらえろ!」との命令により牢から出される。
その曲者とは信乃の事なんですけどね(笑)。二人は城の天守閣で決闘を行う。
この場面は子供の頃の私が一番好きな場面で、いくつもの本を借りてはこの部分を読んでいた。

【犬田 小文吾 悌順(いぬた こぶんご やすより):悌の玉】
小文吾の母が幼い現八を育てた。
親孝行で相撲が強く地元では頼りにされ…まあ地元の若衆のアニキですね。

【犬江 親兵衛 仁(いぬえ しんべえ まさし):仁の玉】
子供の頃から私は「仁」は「ひとし」だと思い込んでいた。この字で「まさし」って読むって知らなかったわ。
小文吾の甥。初登場時4歳で、すぐ神隠しに合い(伏姫の神霊に守られていたんだが)、割と終りのほうまで出てこない…んだが、出てきたと思ったら八つの人徳の最上級「仁」の玉に相応しく縦横無尽の大活躍。再登場時10歳だが18歳くらいの外見に知力腕力、一人で城一つ掌握するとか神薬を持ってるとか使者として京都に向かったら気に入られて困っちゃったとか、人間扱いしていいのかこの人。里見八犬伝連載28年の間で想像すれば、5年目くらいに出てきてすぐ行方不明になった子供が25年目くらいに出てきていきなりほぼ主役と言う感じかなあ。当時の読者は混乱しなかったのだろうか(笑)
さて、八犬士たちはラストでそれぞれ里見の姫と結婚するんだが、仁のお相手は一の姫。いったいどのくらいの姉さん女房なんだろうとは昔からの疑問(笑)

【犬坂 毛野 胤智(いぬさか けの たねとも):智の玉】
父は城主、側室だった母が落ち延び、三年身籠って産まれた。父の仇討のために女曲芸師として修行を積み、武芸知略に優れ、里見家にの軍では智将として参謀役を務める。
…だなんて十分主人公たる経歴だというのに、この話では八犬士の中の一人に過ぎないとは贅沢と言うかなんでもありと言うか(笑)
亡父の仇討場面はなかなかの迫力。

【犬村 大角 礼儀(いぬむら だいかく まさのり):礼の玉】
幼名は角太郎。
父の一角は腕に覚えのある郷士だったが、化け猫退治に出たが返り討ちにされ、その化け猫は一角になり替わる。化け猫の一角は現八により傷を負う。そして角太郎の妻雛衣(ひなぎぬ)の腹を裂きその胎児の血と母の心臓を混ぜたものを飲めば治ると、雛衣に自害を迫る。
化け猫退治は中盤の見せ場。八犬士たちがあまりにも強いので常人では敵として迫力不足、化け猫でやっと相手になるというか。
私はスーパー歌舞伎でこの化け猫の場面を観たことがありますが、早変わりや一人数役、だんまり(暗闘。暗闇で戦っているという設定を明るい舞台で演じる)を使ってのなかなかおどろおどろしさだった。


…こんな八犬士全員が一堂に会した時は馬琴先生も嬉しさを隠しきれない様子。

 第9集 巻の19 第126回
 ああ、時なるかな、命なるかな、八犬はいよいよここに勢ぞろいして、ヽ大の縮望空しからず八行の玉は一つに繋がれたのだ。読者各位もおのずから微笑されるであろう。作者二十四年の腹稿は今にしてその小団円を見たのである。

さて、こんな犬士たちに対する適役ですが、やはり相手になるのは物の怪の類、生身の人間ではどうも物足りない。

里見家に最大の呪いをかける玉梓(たまずさ)、中盤の見せ場を作る化け猫、終盤は玉梓の呪いを受けた化け狸。
人間の敵で頑張ったのは、毒婦船虫(ふなむし)か。犬士たちの、特に小文吾の前に現れては邪魔したり命を狙ったり宝を奪ったり。夜鷹になったり強盗になったり人殺ししたり強かに悪道を行き、人間の中では活躍した方の悪役のため相当壮絶且つ凄惨な迎える。

乱世の合戦相手は鎌倉公方足利家、関東管領扇谷家が主だったところ。
(…余談ですが、子供の頃の記憶で「扇谷」を迷わず「おうぎがやつ 」と読めましたよ(^-^))
しかしやはり所詮は生身の人間、神となった伏姫のご加護がある里見家に適うわけがない。

さて、化けもんが出てくるのだから怪しげな民間療法?もいろいろ出てくる。
「破傷風の傷には、男女の血を五合ずつ混ぜたものを濡れば治る」⇒実際にそんな血を被ったら瞬時に完治。
「百年物のマタタビと、妊婦の血と、その胎児の血を混ぜたものが薬になる」⇒親孝行のために了解して自害する女性…
「子供の血を親の髑髏で受け止めたら血は零れない」⇒それで野晒し頭蓋骨が父の物と証明された。
滝沢馬琴のその時代には実際にこういう呪いや代々伝わったものがあったのですね。

滝沢馬琴はこの話を28年かけて書き、実際は膨大な量になるのですが、この版だと現代語訳が分かり易く実にサクサク話が進み実に読みやすい。読んでいたら子供の頃の感覚が蘇り、やっぱり全部の版を読みたくなってしまった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2017年2月5日
読了日 : 2017年2月5日
本棚登録日 : 2017年2月5日

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コメント 10件

yamaitsuさんのコメント
2017/02/13

淳水堂さん、こんにちは(^^)/ 
八犬伝おたくなので、お邪魔しにきました!(でもこの現代語訳は未読・・・)

親兵衛のお嫁さん:静峯姫は親兵衛10歳のときに19歳、9歳年上です。一番下のお姫様が15歳ですがこちらはなぜか小文吾とくっつけられて年齢差10歳くらい。まあこれは当時の感覚ではアリでしょうけど、親兵衛の姉さん女房はレアケースのような・・・

しかも、このクソガキ(こら)自分はまだ子供なので17歳まではそういうこと(…)はしません、というような宣言をするので生意気なことこの上ないです(笑)

個人的には80年代の角川映画などの印象も強くて、犬士の年齢がバラバラだと思いがちですが、実際はお母さんのお腹に長くいた毛野と、神童・親兵衛以外の6人は同い年、おっさんのような道節も若いんですよね(笑)

あと、なにかの本で読んだのですが、当時(江戸時代)の八犬士人気投票みたいなので、圧倒的人気があったのは小文吾だったそうです。現代人の感覚だとお相撲さん=デブ(失敬)と思いがちですが、江戸時代くらいだとそこまでじゃなくて多分現代でいうアスリート、スポーツ選手的なマッチョで頼もしいキャラとして人気があったんでしょうか。今なら中性的な毛野とかのほうが人気でしょうねえ(笑)

いろんな版で私も読みましたが、研究書(?)の類もなかなか面白いのでおすすめです。確か登場人物の人数を調べた本があったと思ったんですが・・・見つけ出せず。統計で、魚へんの名前の人物は大体味方(善人)だったはず。例外もあるので謎ですが(苦笑)

淳水堂さんのコメント
2017/02/14

yamaitsuさん コメントありがとうございます。(>▽<)。

こちらを読んだらやっぱりフルバージョンが読みたくなってしまいました。
なにかお勧めありましたら教えてください。m(--)m
現代語訳じゃないと無理ですが…。

親兵衛のお嫁さん、親兵衛17歳まで待たされたら26歳、この当時にしては出産遅くなりそうですね(--;)。
しかし一の姫19歳で八の姫15歳って、4歳違いの8人の姫がいるのか!義成何人側室いるんだ(笑)

当時は小文吾人気だったんですね。
男性読者からは、孝行息子のアニキが人気なのだろうか。

名前のルール、教えてくださってありがとうございます!
亀は悪役、雑魚は善人ってイマイチ納得いかなかったのですが、爬虫類より魚類が偉いのか(笑)

角川映画は、薬師丸ひろ子、真田広之のですよね。
あれは話題作でしたね、良くも悪くもトンデモ日本映画の勢いがあって。
誰かがまだ子供で、他の犬士の肩に乗っかって威張っていたような…すごいあやふやな記憶(笑)
信乃が京本正樹でしたっけ。死んだ浜路の体が悪役に乗っ取られて色々あったのは覚えてる。
悪役船虫は本当に船虫の塊で、正体現してグチャグチャ~~ってなってたり、そういうグロ描写がまさに昔の角川映画。

やっぱり面白いですよね、八犬伝。(^▽^)

yamaitsuさんのコメント
2017/02/15

淳水堂さん、またまたお邪魔します(^^)/

フルバージョン、やはりおすすめしたいのは馬琴のやつですが、岩波文庫で全10冊、なかなか勇気がいりますよね・・・(私も再読はしてません)
ただ想像してらっしゃるよりはずっと、馬琴の文章は読み易いかと思います。敵を斬るときの擬音「ばらりずん」とか面白いですし(笑)

現代語訳、昔いくつか読んだのですが、どうしても省略の仕方に偏りがあって、ほとんどの本が信乃を主人公に八犬士集結までをメインに、残りは付けたし程度になっており、フルバージョンとは言い難いの難点ですかねえ。原作では集結までで半分くらい、残り半分は神童・親兵衛の大活躍、子供むけの御伽噺のような内容で、江戸時代の読者からも大変不評だったそうで・・・(^_^;)

そんなことしてるから連載長引くんだよ!とツッコミのひとつも入れたくなりますが、当時の読み本にももしかしたら現代の少年ジャンプのような連載引き伸ばし問題などがあったのかもしれません(笑)

個人的に好きな現代語版は山田風太郎の「八犬伝」。小学生の頃、朝日新聞の連載小説として読んでいたのですが、やはり伝奇アクションものなので山田風太郎の得意ジャンルというか。それを書いている馬琴の現実と、物語世界の虚実が交互に描かれているのも興味深いです。

角川映画は、そうです、それです!私は玉梓役の夏木マリが、処女の生き血を絞った血の池風呂にはいっていたインパクトが強すぎて・・・いまだに夏木マリはあのイメージ(笑)
毛野役が志穂美悦子だったんですよね。個人的に志穂美悦子は好きだけど、毛野役を女優さんが演じるのはちょっと微妙かな~。でもおまあ八犬伝っていわば日本最初の戦隊ヒーローみたいなものでもありますし、信乃と毛野はピンクとイエロー(※女子)みたいな感じなのかもしれません。

おたくなので長々語ってしまってすみません!

淳水堂さんのコメント
2017/02/15

yamaitsuさん
ありがとうございます(^▽^)/

やっぱり読むならフルバージョンですかねえ。
しかし後半が親兵衛の大活躍だと飽きそうな気もしてしまうf(^^;)

>江戸時代の読者からも大変不評
大泉洋さん主演映画「駆け込み女と駆出し男」で滝沢馬琴(山崎努さん)が少し出てくるのですが、江戸っ子たちに「最近つまんねーよー」なんて言われてましたが、まさにそんな状態だったのだろうか(笑)

山田風太郎は結構好きなのでまずはそこから手を付けてみようかなあ。荒唐無稽でありつつ世界での規則はちゃんとあり、想像力を膨らませつつ史実の細かい所をきっちり抑えて引き込まれますよね。
しかし山田作風太郎読むには体力気力がある時に呑みこまれないようにするか、または体力気力がないときにどっぷり嵌るかとなるから事前に心構えが必要だ(笑)

簡約するとシノ主役になるのも分かりますよね。
祖父の代から割と詳しく書かれて、犬士同士の最初の出会いが書かれ、ちょっとロマンスっぽいのもあり、犬士の紹介として描きやすいですよね。

角川映画での毛野さんは女優だったんでしたっけ。映画の設定では女、と言うことだったんですか?まあ登場人物の一部を女性に変更するのはある意味お約束なのでしょうが…。

だいさんのコメント
2017/02/16

『八犬伝の世界』
じゃないかなぁ

yamaitsuさんのコメント
2017/02/16

淳水堂さん、度々お邪魔します(^^)/

映画「駆け込み女と駆出し男」私も見ました!江戸っ子たちの「最近つまんねーよ」まさにそんな感じだったのかも。なんかこう、今でいう「ワンピース」読者的な感じで。いつまで続くんだよいい加減終わってくれよーみたいな(苦笑)

10年くらい前にタッキー信乃役でドラマ化したときも、毛野役は山田優だったので、もういっそ早乙女太一あたりにすればいいのにと思ってました。角川映画の毛野は男装の麗人設定で、たしか敵役の萩原流行と恋に落ちてた記憶が・・・(笑)

そういえば漫画化も結構されてますので、私が比較的原作に忠実だなと思ったのは碧也ぴんく版http://booklog.jp/item/1/B00B47YKOAかな。とはいえこれも後半端折りバージョンですが。

上の方書かれてるのは高田衛の「八犬伝の世界http://booklog.jp/item/1/4480089403」のことかしら。研究書なら私もこちらイチオシです。あとこちらhttp://booklog.jp/item/1/4002603288とか。

淳水堂さんのコメント
2017/02/16

だいさん yamaitsuさん
ありがとうございます!(>▽<)!
まずは「八犬伝の世界」が良さそうですね。
読まねばな本がどんどん溜まる、嬉しい悲鳴(笑)

角川映画の毛野は、女装の男から男装の女に設定変更でしたっけ、ややこしい(++;)
なんか威張ってる子供犬士がいたよなあ、でも親兵衛じゃないんだよなあ(親兵衛は真田広之だから)くらいのうろ覚えです。

私が見たスーパー歌舞伎では、道節が猿之助さん(現・猿翁さん)、たしか現八が市川右近さんで、信乃が笑也さんでした。
私は歌舞伎はスーパーしか見たことないのですが、主役が猿之助さん、二番手右近さん、トップ女形で猿之助さん相手役が笑也さんだったので、この三犬士がメインで作られていたのかな。
毛野役も女形役者さんでした。信乃は娘姿から割と格好よく侍姿に変わってましたが、毛野は敵に捕まって他の犬士に助けられたりイマイチ扱いが良くなかったような(^^;)
亀治郎さん(現・猿之助さん)も出てたはずですが…誰役だったか覚えていない…。
スーパー歌舞伎なので全体的に派手で賑やかで分かり易いのですが、化け猫退治の場面はなかなかおどろおどろしく大掛かりだった。雛衣(女形役者さん)の自害は明るいスーパー歌舞伎のなかで悲劇場面でした。

yamaitsuさんのコメント
2017/02/17

淳水堂さん、こんにちは!(^^)!何度もお邪魔してすみません<m(__)m>

角川映画、思わずWikiで調べてしまいましたが、てっきりゝ大法師だと記憶していた千葉真一が道節だったのにビックリ。小文吾の肩に乗ってた子供が荘助だったっぽいです・・・。

スーパー歌舞伎だと道節が主人公みたいな感じなのでしょうか。確かに火遁の術とか使って派手な感じなので歌舞伎似合いそう!信乃と毛野はやはり女形役者さんが演じられるのですね。ベルばらを宝塚でやるときオスカルを男役の方が演じるのと同じ法則?(笑)
私は実は八犬士では現八がお気に入りなので、最近のドラマや映画だと扱いイマイチなのが残念なのですけど、歌舞伎や錦絵だと芳流閣での信乃との対決場面が見せ場になるから、扱い良いのが嬉しいです。化け猫退治も現八ですし。

毛野、原作では実は八犬士の中でいちばん怖いというか容赦なく敵を殺すタイプで、研究本の類では悪女の系列(船虫など)に分類できる点などを指摘されてたりします(苦笑)実際、自らの手で親の仇を惨殺してるのは毛野だけですし、里見の軍師になってからも「皆殺し作戦」とか考え出して結構クールというか冷徹なんですよね。足手まといの女子キャラ扱いはきっと不本意でしょう(笑)

淳水堂さんのコメント
2017/02/17

yamaitsuさん
いえいえ、お話できてうれしいです★

原作の毛野は容赦ないというのと、
他の犬士たちは友情!仲間!全世代からの因縁!と言う感じですが、毛野はもう少し独立しているような感じですよね。
やっぱり身元も性別も隠して一人で世間を渡ってきたから根本が厳しいのかな。
里見家でも、他の犬士たちはなんでもできます!とう感じですが毛野は作戦参謀に就いて役割が明確だし。
この人この後普通にお城勤めできるんだろうか、ふら~っとどっかに放浪しそうだな(笑)

しかし八犬伝は読む分には本当に楽しめるのですが、
自分があの時代に暮らせるかと言うと生きるのが大変そうだなあ(++;)
 親の病気治療のために自害するのが親孝行とか、
 親が死んだら一生タダ働きとか、
 濡れ衣着せられてあやうく獄中死とか、
 道歩いていたらいきなり物取りに狙撃されるとか、
 悪女として独立している船虫の話だって、旦那が死んだ女は他の男を頼ったり夜鷹になったりするなんてたくさんあったんだろうな~とか、
こんな世の中で自分がまともに生きられる自信がないorz
まあだからこそ読んで楽しむんですけどね(笑)

yamaitsuさんのコメント
2017/02/20

淳水堂さん、こんにちは!(^^)!

確かに、たとえ親孝行とはいえ胎児を舅の治療ために差し出せと言われても絶対無理です(@_@;)
江戸から明治にかけての八犬伝評では、犬士たちの言動が清廉潔白すぎて「勧善懲悪の化け物」等とディスられたりする傾向もあったそうですが、まあそれだけ悪と善の対比が明確だったということでしょうね。
とはいえ、よってたかって船虫を殺害した犬士たちは、結構残虐だったとも思うのですが。そしてそこが八犬伝の面白さだったりもして。

後半、親兵衛が主人公になってからつまらなくなるのは、戦争で一度は殺した相手を親兵衛が「伏姫からもらった霊薬」とやらで全員生き返らせるなどの偽善を働くなどするからで、これはさすがに興醒めしちゃいます。

ちなみに八犬士たちは、お姫様たちと結婚してしばらく里見に仕えたあとは、後のことはもう知らんとばかりに八人仲良く山奥に隠棲して仙人みたいになっちゃったそうで、ちょっと無責任(笑)

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