千夜一夜物語―バ−トン版 (バベルの図書館 15)

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感想 : 5
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ボルヘス監修、バベルの図書館シリーズ。イタリアで刊行された青を貴重とした縦長の装丁で出版されています。
本屋さんに残っているものを取り寄せたり古本屋さんで探したり、30冊すべてが揃ったのですが、一番最後に手に入れたのがこちら、アラビアンナイトのバートン版。(なぜかガラン版より入手が困難だった。アマゾンでも高額だったり)

リチャード・バートンはイギリスの冒険家。アフリカ探検時に湖を見つけて「ビクトリア湖」と名付けたことで冒険家としての名前を知られています。
「アラビアンナイト」を翻訳し、ヨーロッパ社会に紹介しました。

『ユダヤ人の医師の物語』
ユダヤ人医師が診た若い男の患者は右手が切り落とされていた。
若い男は自分のたどった冒険を語る。
裕福な商人の息子である彼は、商売で訪れたカイロに豪奢な屋敷を構えていた。
ある日彼は若く美しい娘の訪問を受け、贅沢な生活と妖艶な夜を過ごす。
しかしある日、娘はもう一人の娘を連れてきた。始めてきた娘と夜を過ごした男だが、翌朝彼女は死体になっていた…。


『蛇の女王』
若いハシブは、商人仲間に騙されて洞窟に閉じ込められる。
洞窟の出口を探ると底には多くの蛇たちの国に繋がり、そして推奨のように輝く蛇の体と美しい女の顔を持つ蛇の女王に出会う。
地上に戻してほしいと願うハシブに、蛇の女王はかつて訪れた男たちの冒険譚を語る。
「ブルキヤの冒険」
イスラエルの王子ブルキヤは、隠されていたマホメットの書物を読み、マホメットへの愛で溢れてしまう。国を出てマホメットの復活を求めるブルキヤの辿った物語。
「ヤンシャーの物語」
ブルキヤが出会ったヤンシャーという男。酋長の息子として生まれたヤンシャーは、海に出てそのまま流される。数々の冒険を経て美しい精霊シャムサーに恋したヤンシャーは彼女とともに生まれ故郷の国に帰る。その故郷に敵国が攻めてきて…。

…それらの話を聞いたハシブは、蛇の女王とある誓いを立てて洞窟から家に帰してもらう。この誓いを破れば蛇の女王は死ぬことになる。
しかしその誓いが破られることは宿命で決まっていたのだった。


===
それぞれの話の男たちの贅沢三昧や美女との愛欲の日々はちょっと「いい気なもんだ」という気もしてしまう(笑)。
『蛇の女王』は、蛇の女王が語る、ブルキヤとヤンシャーの語り、というような数重構造。
アラビアンナイトの人物たちは、あまりに豪華な生活も悪びれずに散財し、そして巡り巡る数奇な命運も、そのため大きなものを失ったとしても受け入れています。
生まれたときに持っていたもの、場所に拘ることなく生きて、神の御心のまま、運だと受け入れているのでしょう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ●バベルの図書館
感想投稿日 : 2020年2月2日
読了日 : 2020年2月2日
本棚登録日 : 2020年2月2日

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コメント 2件

佐藤史緒さんのコメント
2020/02/14

こんにちは!
いつもレビュー楽しく読ませてもらってます。
このシリーズ揃えたんですね!
すごーい、羨ましい!!
並べたらさぞ壮観でしょうね
*・.。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。

淳水堂さんのコメント
2020/02/14

佐藤史緒さんありがとうございます!
私も佐藤史緒さんのレビュー楽しみにしています^_^

バベルの図書館シリーズは表紙を並べて写メ撮って待受にしています(笑)
このシリーズで初めて知った作家や、興味を持ち他の本も読んだ作家や、読書の範囲が広がって行きます(^o^)

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