科学者の友人マルシャル・カントレル先生の別荘”ロクス・ソルス”に招かれた私たちは、広大な庭園に配置されている発明品の数々を紹介される。
まず奇妙な装置や人々の行動が書かれ、読者の頭が「?」となったところでそれがなんであるか、どうやって作ったか語られるという構図。
発明品たちは「どうやって作ったか」が懇切丁寧かつ平坦に説明されているんだが、「こういう器具で人間の歯からある種の電磁波を集め…」「ある種のメロディーを聴くと蛍光色を発する平べったい虫を手に入れ…」などと言うような余計に頭がこんがらがりそうなこと几帳面に記載してゆくこの作者はよほど凝り性に違いない。
✔人間の歯から出る微粒子をエネルギーとして騎士に夢見られている撞槌型の飛行機械
→おかげで痛くない抜歯方法を発明しましたよ。(序盤でまだこの本に頭がついて行っていなかったのでこれ以上説明無理(笑))
合間に挟みこまれた寓話的エピソード「自分の命を狙った男の命を助ける乙女たち」のエピソードは印象的だった。
✔呼吸のできる水の中で髪をなびかせる音楽を奏でる美女や、垂直運動を繰り返しながら同じ話を演じる水中人形たち、ギロチンのあと骨と油を取り除かれたダントンの頭部-すなわち脳味噌や、毛を剃られた猫たち。
→水中人形たちの演技の一つ一つの意味はこのような神話などからとったんです。それぞれの上下運動の規則も計算されています。
そしてこの水は毛髪などの揺れにより音を発します。
ダントンの頭はこうやって手に入れたんだけど、防腐処理に失敗して脳みそだけ残しましたよ。などなど説明されている。
✔それぞれが奇妙な独り芝居を続ける男たち。
幼子の石像を抱く男、部屋の中から何かを探していき自殺する青年、自分の指を偽物の万力で締め付ける老人…。そして彼らみて観劇する女や子供たち。
→死体にある種の電気を通すことにより、その人物が人生で一番印象的な出来事を繰り返すようになるんですよ。
それぞれの「一番印象的な出来事」を語ることにより、人生の振り返りのような章になっている。愛の思い出、酷い殺人を知るまでの道のりとその殺人の顛末。
文系脳の私には「どのような電磁波をどうやって死体を動かしたか」ということより、「彼にとってこの場面はどういう意味を持っていたのか」のほうが印象的。
✔娘が踏み殺されたことにショックを受けて狂った父親が、娘の最期の場面を再現し、そして失われた娘の姿を求める様相…
→カントレル先生は、精神を病んだものの治療法としてある種の電気の作用を…
これまた文系脳の私には、どのような治療法…というより、愛娘を失った父親の失望と再生の一歩として理解しておく。
✔女占い師の操る光るカード、男占い師の操る血により未来を予測する鶏。
→彼らが操る「あるメロディーを聴くと蛍光色を放つ平べったい虫」やら、「血を吐くことにより予言を行うよう訓練させた鶏」などのエピソード、
そしてその占い師たちの半生が語られる。
そんなキテレツかつシュールな発明品の数々を紹介された後、私たちは館に入ってご馳走になりましたとさ、おっしまい。
こんなに明るく「おっしまい」という内容でもなかったのですが、かなりシュールで頭の中に描く映像に酔ってしまいそうなので、明るく締めてみました(笑)
- 感想投稿日 : 2018年4月28日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2018年4月28日
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