銀河鉄道の夜 (ますむら・ひろし賢治シリーズ)

制作 : 原作:宮沢賢治 
  • 扶桑社 (1995年3月30日発売)
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本棚登録 : 346
感想 : 40
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ますむらひろし「イーハトーブ乱入記」(https://booklog.jp/users/junsuido/archives/1/4480057560)を読んでから。「乱入記」では宮沢賢治の銀河の表現方法を絵にするにあたっての試行錯誤っぷりが語られていました。
よくよく読んだら銀河鉄道から星は見えていないではないか!空の色を「桔梗色」と書いたのはなぜなのだろう、天気輪が三角標になったってどんな状況?いやそもそも三角標とか天気輪ってなんなんだ。
漫画にするために色々な人に相談したこと、自分が読み取っていなかったことを指摘されたこと。
まずこの漫画の特徴は登場人物がネコであることなのですが、「乱入記」でも言っていたように、読んでみるとジョバンニたちがネコか人間かとはたしかに気にならなりませんでした。ますむらひろしの言う通りジョバンニはジョバンニなんですよね。
文章にしかできない表現を視覚で見せるために、どのような向き合い方をするかということでとても興味深かったです。
その反面、ジョバンニの心理描写で、鳥捕りへの気持ちや、カムパネルラが他の乗客と仲良くしていていじける場面は、宮沢賢治の文章で読むよりも漫画で読んだほうがくっきりと感じて「ジョバンニってこんなにいじけてたっけ?」と思いました。
ますむらひろしは宮沢賢治の精神に沿うように調べて考えて漫画化しているため、絵と文章の印象の違いなども感じられました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ●日本文学
感想投稿日 : 2022年9月3日
読了日 : 2022年9月3日
本棚登録日 : 2022年9月3日

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