資本主義の世の中で、働き働かされている自身の現実を、自分で選択のうえのことだと思いこまされている姿を、様々な経験や知識を元に露わに現出しようとされています。その現実は、思考の深くまで疑問を持たないように、型にはまらせるところがあるからか、著者の書き方も型からはみ出すように勢いのあるものになっています。読みながら、その奔流にさらされながら、自分の現在の姿に意識を向けざるを得ないようになっていきます。奴隷状態がどのように生まれたのか、私達が必死に働かないといけないと思わされているのは何故なのか、誰に操られているのか。過去のそんな束縛しようというものに対して抗った人々の物語を通じて、「サボる」ということのイメージが出来上がっていきます。ふざけたような文体に、過去の哲学者の言葉が基礎付けられて、はっと気づかされるところがありました。仕事や組織のために犠牲になることから、思ったほど貢献できるところは無いのだと冷静になるために。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
哲学
- 感想投稿日 : 2022年6月6日
- 読了日 : 2022年6月6日
- 本棚登録日 : 2022年5月4日
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