模倣犯 (下)

著者 :
  • 小学館 (2001年3月21日発売)
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感想 : 528
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下巻は2部の終盤と3部が収録されています。
2部は連続殺人犯の二人組が同級生の青年を罠に陥れ、罪をかぶせようと画策する。
そして、罠にはめられる青年は彼らの企みを知りながらその罠に飛び込んでくる。
かつて優しかった、幼馴染である犯人の内の一人を救うために。
しかし、それは悲劇へとつながっていく。
そして、3部は2部の結末により新たに生まれた被害者、そしてそれに関わる模倣犯、さらに彼を追う刑事の姿を描いている。

序盤は面白いと思いました。
緊迫感があるし、必要だと思われる描写がほとんどでテンポよく読める。
でも3部に入ってから、いつもの如く丁寧に書き込まれすぎていて、読んでいてしんどくなるし退屈になる。
ストーリー自体は面白いのに間延びした印象になるのが残念。
これをギッチリ書き込まれていて読みがいがあると感じるか、もっと省略した方が良いと感じるかは読む人の好み次第だと思います。
また人物の描写もかなり作者の思い込みが強いと思う。

2部で罠にはめられる青年は、殺人犯の二人に子供の頃いじめられていた。
頭も良くないし、グズだし、とバカにされていて、自分もそういう人間だと分かっている。
でも大人になるまでに彼はそういう自分が自分なんだと認めて、コツコツと日々を築きあげて生きてきた。
それに比べて犯人たちはプライドや理想は高いがそれに現実が追いつかない。
空疎な日々を重ね、築いたものがないために、自分を大きく見せるには背伸びするしかない。
そんな事を2部を読んで感じました。

ストーリーは連続殺人事件を扱ったものだけにどうしても重たくなりがちですが、それより本自体が分厚くて重たかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年7月13日
読了日 : 2012年5月13日
本棚登録日 : 2013年7月13日

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