それでもこの世は悪くなかった (文春新書)

著者 :
  • 文藝春秋 (2017年1月20日発売)
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本棚登録 : 283
感想 : 31
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しみじみと読める本でした。
書いてある事は今まで読んだ本や自伝の「血脈」で見た事がほとんど。
だけど、さりげないエピソードに「ああ、そうだなぁ・・・」としみじみ思ったり、静かに共感や感動ができました。

主に、佐藤愛子さんの生い立ち、今までいろんな本で書かれている夫の借金を返済してきた半生、作家仲間の事について書かれており、この本で新たに書かれていると感じたのは作家仲間について、今までの本よりも詳しく書かれているという事でした。

それらに対する私見には、共感できるところもあれば「それはどうかなぁ・・・」というのもあり。
だけど、自分と違う意見でも「なるほどね」と思えてしまう。
それは多分、この本を書かれた時の作者の年齢というのも関係しているとは思います。

私がこの本で一番印象に残ったのは幸せについて書かれた話です。
電車で乗り合わせた女子高生たちの姿を見て、試験勉強をしている彼女たちは今自分が幸せなのだと感じていないだろう。
だけど、幸せなのだというのをポッキーで表現されているのが印象的でした。
今の世の中、こんな繊細な感性をもった人がどれだけいるだろう・・・と思います。
また、歳をとらないと分からないという事は本当にあるよな・・・としみじみと思います。

他には今の世の中に対する思いにも共感できたし、引用したいなと思う箇所もいくつもありました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 佐藤愛子
感想投稿日 : 2018年1月3日
読了日 : 2018年1月3日
本棚登録日 : 2018年1月3日

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