聖と俗: 宗教的なるものの本質について (叢書・ウニベルシタス)

  • 法政大学出版局 (1969年10月1日発売)
3.60
  • (8)
  • (8)
  • (24)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 183
感想 : 7
4

「聖なるものは実在そのものであり、同時に威力であり、造成力であり、生命と繁殖の源である。」
という一節が、栗本慎一郎さんの「経済人類学」の貨幣論を扱った第9章の扉に引用してあって、なんか痺れてしまってどうしても読みたくなった。これが古本屋で見つかるから不思議なものである。

この本に出て来る「宗教的人間」は現代の宗教にハマってる人とはチョット違うかも知れない。
ギリシャの神々やキリスト以前のもっと原始的な宗教が身体に沁み入っている人たちを想定しているような気がする。
概念化された宇宙ではなくて身体が直接繋がっているような…神話が描き出す宇宙。内田樹さんが女は出産、男は武道で宇宙に通じるというような宇宙に繋がっている人たち。橋本治さんが「人はなぜ美しいがわかるのか」で書かれていたアスファルトの上のキラキラを見つけられる人。

生き活きとした秩序ある宇宙が目の前に広がることの素晴らしさ。さまざまな聖礼(サクラメント)につつまれる。僕らはほとんど忘れかけているのではあるが、まだこの身体のどこかにそれを記憶している。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 宗教
感想投稿日 : 2012年7月12日
読了日 : 2012年7月11日
本棚登録日 : 2012年7月12日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする