ガープの世界〈上〉 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1988年10月28日発売)
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感想 : 113
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<看護婦のジェニーは欲望抜きのセックスで一人の子供を産む。
  彼の名はT.S.ガープ。彼とその家族の数奇な人生が今始まる ― 。>

著:ジョン・アーヴィング

ジョン・アーヴィングを世界的大作家に押し上げた代表作。
ホテルニューハンプシャーを読んでもう一度読みたくなったので再読です。

ホテルニューハンプシャーのレビューでアーヴィング節と書きましたがそれは今作も同じ。
子供を持つための欲望抜きのセックスで生まれた作家志望の男の子という奇妙な設定。
ここから生まれた愛すべきキャラクターたちが、物語の波を次々と乗り越えていきます。

本文中に以下の言葉が出てきます。

「人は、「こっけい」であっても、同時に「真面目」であることができるのだ。」
「人生は・・・なぜか、度がすぎるものですよ。人生が二流のメロドラマなんです。」

前者が、ガープが読者から批判の手紙を受け取ったときに感じた言葉、
後者が、編集者に著作があまりにも度がすぎるメロドラマだと批判されたときに彼が口にした言葉です。

この二つの言葉がこの物語を形作っています。
そしてこの言葉はそのままジョン・アーヴィングという作家の哲学なのでしょう。

人生にどのようなことがあれ、
それはあくまでも「こっけい」なもの、度がすぎた「メロドラマ」のようなもの。
楽しいこと、悲しいこと、苦しいこと ― それでも人生はすばらしい。

久々に読んだのだけれど、昔読んだときの気持ちそのままに、
むしろ当時よりもさらに心満たされる何かを感じました。


最後にもう一度書きます。


それでも人生はすばらしい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年3月5日
読了日 : 2011年2月25日
本棚登録日 : 2012年3月5日

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