狼の牙を折れ: 史上最大の爆破テロに挑んだ警視庁公安部

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  • 小学館 (2013年10月24日発売)
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1974年(昭和49年)8月30日三菱重工本社爆破事件が起こる。
その後も爆破事件は続き、犯人グループは東アジア反日武装戦線”狼”、”大地の牙”、”さそり”と名乗った。
9ヶ月後犯人グループは一網打尽に逮捕されるが、その後に発生したクアラルンプール事件とダッカ事件によって犯人の一部は超法規的措置で釈放されて国外脱出し現在も逃亡したままである。
事件発生から捜査、逮捕、釈放を取材しまとめたノンフィクションである。

★犯人特定の第一歩は犯行声明文の特徴的な語句と思想性であった。
★北海道での爆破事件との関わりが疑われ、二人の容疑者が浮かぶ。
★二人の内の一人は東京都内に在住していることがわかり、行動監視を開始する。
★行動監視から次々と接触のある容疑者が浮かび逮捕に至る。

動機は犯行声明によると”ある立場の人達を抑圧していること、それによって利益を得ていること”に対する抗議としての犯行であるとしている。
意見は立派なのかもしれないが、一般人や場合によっては無関係の人に危害が加えることを正当化できるほどの理由には私には思えなかった。
「反政府、反大企業な自分ってかっこいい」っていう自己満足、自己陶酔にしか思えず。
共感できるものがなかった。

立派な意見を言う人は「自分の意見を聞いてもらえない。大きな事件を起こして、騒ぎをおこすことによって注目を集めないと聞いてもらえない」という人とこの事件の犯人たちの発想が共通しているように感じた。
何か実現したいことがあるなら周りの共感を集めるような説得とやり方を取らないとねって思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2021年4月23日
読了日 : 2021年4月22日
本棚登録日 : 2021年4月22日

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