車輪の下 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1951年12月4日発売)
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本棚登録 : 9706
感想 : 780
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あまりにも学校生活ががんじがらめで窮屈そうな息子を見ていて、少しでも彼を理解したいと思い、読んでみました。
率直に言うと、すんなり読める本ではなかったです。
感情を読み解くだけで理解できるものではなかった。
読んでる途中も、読み終わった後も、「うーーむ。これはどうやって読んでいけばいいのかわからない」というのが感想でした。(途中で挫折しそうになった)

しかし、巻末の解説を読み、一晩考えたら理解できました。
読む順番として正しいのかわからないけど、「解説→車輪の下」の順に読むと背景描写が理解できて、この小説の面白さがわかると思います。(ヘッセの人生をある程度理解している人はいきなり作品を読んでもいいと思う)
車輪の下はヘッセの幼少期を自伝的な小説に仕立て上げたという事で、ヘッセの幼少期を知っているか、が肝になります。
作中にはハンス(主人公)とハイルナー(神学校で出会う友達)が登場するのですが、この二人を合わせたものが幼少期のヘッセとなります。
(これが分からないと、本当につまらない小説なのです)
ハンスは勉学に励む人格、ハイルナーは詩をこよなく愛する人格であると。
これを解説で知って、実はこの小説はすごいのでは?と思いなおしました。(名作というだけある)
分身を別の人間で表現するってすごくないですか?
ハンスとハイルナーは別々の道を歩んでいきますが、それぞれの人生はヘッセの人生でもあるのです。
これ、表現の発明だと思うのですが、私だけでしょうか??

個人的には「車輪の下」よりもヘッセ自身の人生の方がぶっ飛んでて面白いと思いました。現実は小説より奇なり、とはこういうことを言うのでしょう。

ヘッセの他の作品も読んでみたくなりました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文学
感想投稿日 : 2023年11月25日
読了日 : 2023年11月25日
本棚登録日 : 2023年9月3日

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