暗さ9割、ユーモア1割。
太宰が死ぬまでの一年半に書かれた短編集。
書かれた順に納められているようだ。
入り口は割と入りやすいのに、先に進むにつれて、暗くなっていく。
今なら何とでも言えるが、当時、「太宰は自殺するのではないか??」って思う人々はいなかったのだろうか?
表題作より、「トカトントン」のやり場のない恐怖に身震いした。
何をやっても、クライマックスで、正体不明の音が聞こえて、全てが灰燼と化す様をユーモアに描いたこの作品。オイラが映画監督なら、この作品を映像化したいと思った。物語の山場にとりかかった作家が、銭湯の湯船につかりながら天井を眺めていたら、トカトントン~♪の音が聞こえ、興奮が一気にひいて、お湯と戯れる裸の男になりさがるくだりが、おかしくも悲しい。最高のシーンになりそうだ。
最近、文芸作品が多いな。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本文学
- 感想投稿日 : 2013年3月15日
- 読了日 : 2009年10月31日
- 本棚登録日 : 2013年3月15日
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