圧倒的な、大河小説。
満州で出会った二人の男女が、その生をまっとうするまでを描く。
「逃げる」という言葉が重く響く。
時代に流されるな、流されるくらいなら全力で逃げろ。逃げるのは悪いことじゃない。
それでも、逃げたということに重い罪悪感も抱えつつ、人生を生きる。
昭和という濁流を、必死に泳いだ人々の物語。
「遠くまでいこうなんて思わなかった。どうしよう、どうしようって言ったまま気がついたらずいぶん遠くにいたんだよ」
「ぼくもね、かあさん、なんだかすごく遠くにきてしまった気がするよ。そんなつもりはないのに、不思議だね。気づくとずいぶん遠くにきていて、帰れない」
人生をここまで的確に表現した著者に、拍手を送りたい。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2017年8月22日
- 読了日 : 2017年8月22日
- 本棚登録日 : 2017年8月22日
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