抗えぬ力 に「囚われる」幻想譚3編のオムニバス。 ある特定の1日、旅する古い屋敷、異能の所為という異界牢獄は、抑えた描写なのに奥行きがあり深い印象を与える。『神家没落』は日本人が古くから語り継いできた民話のような、ここではない何処かへ読む者を連れ去る朴訥とした幻影は懐かしさを感じるほど。仄かな郷愁と寄る辺なさ、木々や野山の冷んやりとした佇まい、不穏なざわめき、茫漠とした無常観、諦念、閉じた世界の静けさ、それらが優美に調和されている。
読書状況:読み終わった
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恒川光太郎
- 感想投稿日 : 2019年12月23日
- 読了日 : 2012年8月23日
- 本棚登録日 : 2019年12月23日
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