Habibi II [日本語版]

  • ティー・オーエンタテインメント (2012年6月25日発売)
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感想 : 3
4

9歳で嫁がされたドドラと奴隷孤児のザム。大人たちから逃れた二人は砂漠の廃船で暮らしだす。ドドラは体を売ることで食べ物を得、ザムは蛇の導きにより水を得る。二人だけの生活の中でドドラは物語を紡ぎザムに語る。やがて二人は引き裂かれ、ドドラはサルタンの子を孕み、ドドラを失ったザムは自らの意思で去勢する。。。
物語と文字と象徴とが重層的に描き出される。蛇が兵士によって殺害される様はザムの去勢の前兆だし、二人が水に飛び込む姿形は子宮の隠喩として描かれる。そしてこの作品を最も特徴づけるのがイスラミック・カリグラフィー。文字はすなわち言葉であり意味であり意志、啓示、預言、あらゆる象徴の依代。たしかに僕たちはアラビア文字を読むことができない。しかしムハンマドだって文盲でそれでも読むことを求められたのだからなんの問題もない。そこにカリグラフィーがありそれを僕たちが視覚的に受け取ること、それ自体に意義がある。
圧倒的な密度と世界観の深遠さにガツンとやられてぐらっときて読み終わってぐったり。やー、これはすごい。世界には本当に面白い漫画がたくさんある。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コミック
感想投稿日 : 2012年7月15日
読了日 : 2012年7月15日
本棚登録日 : 2012年7月15日

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