9世紀後半の英国の社会主義者、そして詩人、デザイナー、民衆藝術家の著者によるファンタジーかつ思想小説。著者を思わせる主人公が未来へのタイムスリップし、22世紀の英国を描く。20世紀に起こった民衆パワーの炸裂、ロシア・中国共産革命などを予言するような小説。社会主義がいかに煤煙で薄ら汚れ、商業主義で毒されたロンドンを美しく変えたか、また労働そのものが喜びの国になった、人類愛を強要した宗教が不要になったというクダリはソ連・そして中国の現状を知るだけに今さらというシラケを感じる。しかし英国の田園風景の美しさの描写はさすが詩人。そして「人間の精神労働と肉体労働の両方によって生み出される美」という言葉に著者の思想が凝縮されていると思う。オックス・ブリッジが教養人と称する寄生虫階級の繁殖地だとの批判の言葉が鋭い。これは今の世界にも言えるのだろうか?或いは克服したのだろうか?
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2014年10月13日
- 読了日 : 2014年10月13日
- 本棚登録日 : 2014年10月7日
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