巻八 (源氏物語)

著者 :
  • 講談社 (1997年12月15日発売)
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本棚登録 : 44
感想 : 5
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まずは繋ぎの帖である「竹河」では玉鬘のその後の魅力的な奥様ぶりがホッとするような思いです。宇治10帖に愈々入りました。橋姫、椎本、総角と続いています。山深い田舎として宇治が描かれており、いかにも幽玄な里という寂しい情景の描写が見事です。光源氏と比較し、異母弟・八の宮の寂しい晩年の状況は今に通じるものを感じましたし、薫の君と匂宮という対照的な2人と2姉妹の恋がなんとももどかしく、現代から見ても特に大の君の悲しい性を痛感しました。瀬戸内寂聴が後書きで書いているように、ジッドの「狭き門」を思い出させるような2姉妹です。実際に初めて26日に宇治を訪問し、平等院、宇治川を眼の前にして紫式部の情緒溢れる聖地を楽しんできました。大の君の逝去の場面は美しく、一層の悲痛な悲しみを感じさせます。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本の古典
感想投稿日 : 2013年8月26日
読了日 : 2008年8月26日
本棚登録日 : 2013年8月26日

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