刺青・秘密 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1969年8月5日発売)
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本棚登録 : 5360
感想 : 414
4

最近の文学だけではなく、幅広く文学を…と思い手に取った本作。
大江健三郎さんに引き続き、次は谷崎潤一郎さんの作品。

いやーーー、本作面白かったーーー( ̄▽ ̄)

谷崎潤一郎作品、「耽美派」、「性的」、「フェティシズム」なんて様々にご立派な言葉で表現されてきていますが…

いや、なんというか格式高いロリコンドMエロ小説(こんなこと言うと怒られるのかもしれませんが…)ですね、まどろっこしい言い方してんじゃないよと(笑)
端的に言うと「美女にめちゃくちゃにされたい願望」っていう…

いやー、でもコレがとっても面白い(´∀`)

文章がとても綺麗なので、ただのエロってだけでは無く、完成度の高い文学として成立しているのかなと。

あと「エロ」って時を超えて不変なものなんだなと(笑)
古い作品って、時代背景が違ったりするとイマイチ感覚的に理解できないことも多いんですけど、動物の本能的な部分に近い感情は変わらないものなんだなと、そんなことを考えたりもしました。

個人的には「秘密」が好きでした。

女装して、麻酔薬持って犯罪の匂いを楽しんで、目隠しして車に乗せられて女に会いに行って、さるぐつわ外して巻きタバコ…(´∀`)

フェチの要素もありながら、物語としても純粋に面白い。
「秘密」が楽しさの原点というのも、とても分かる気がしました。

本作でまた今までに知らなかった小説のジャンルを知れて、さらに世界が広がった感じ。
コレがあるから小説は辞められない…( ̄▽ ̄)

次は長編の「痴人の愛」あたりも読んでみようかなと。


<印象に残った言葉>
・如何なる意味をも鮮やかに表し得る黒い大きい瞳は、場内の二つの宝石のように、遠い階下の隅からも認められる。顔面の凡べての道具が単に物を見たり、嗅いだり、聞いたり、語ったりする機関としては、あまりに余情に富み過ぎて、人間の顔と云うよりも、男の心を誘惑する甘味ある餌食であった。(秘密)


<内容(「BOOK」データベースより)>
究極の美女に土下座し、踏みにじられたい。
谷崎が描くエロティシズムの極み。

肌をさされてもだえる人の姿にいいしれぬ愉悦を感じる刺青師清吉が、年来の宿願であった光輝ある美女の背に蜘蛛を彫りおえた時、今度は……。
性的倒錯の世界を描き、美しいものに征服される喜び、美即ち強きものである作者独自の美の世界が顕わされた処女作「刺青」。作者唯一の告白書にして懺悔録である自伝小説「異端者の悲しみ」ほかに「少年」「秘密」など、初期の短編全七編を収める。
用語、時代背景などについての詳細な注解を付す。

目次
刺青
少年
幇間
秘密
異端者の悲しみ
二人の稚児
母を恋うる記
注解細江光
解説河盛好蔵

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: レビュー有
感想投稿日 : 2023年1月29日
読了日 : 2023年1月29日
本棚登録日 : 2023年1月29日

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