『他人の本を読めなくなったのは、いつからだったか。』
三島由紀夫賞受賞作。小説家、片説家、やみ、バックベアード。気が狂いそうなくらい露骨であり、涙が出そうなくらい琴線に触れる陰喩を用いて「小説」について描く。なるほど、こうくるかと。主張の根底にあるのが、風刺なのか、弁護なのか、はっきりとはわからないけれど、行き着く先は同じであり、とにかく絶妙すぎると感じた。
人はいつだって安全な場所にいたがる。でも、そこに居続けることは、内的な要因からして難しい。だから取り込む。そして、ふとして消化仕切れなくなった時に吐き出す。果たしてその原因は、消化不良なのか、胃潰瘍なのか、それが問題だ。主体的な動機付けで吐き出すことができる人間でありたい。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
1.エッセイ
- 感想投稿日 : 2010年6月18日
- 読了日 : 2010年6月18日
- 本棚登録日 : 2010年6月18日
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