私、梅本杏子(きょうこ)の母です。最近は杏子がデパート地下の和菓子屋さんにお勤めしていて、みなさんからずいぶん可愛いがってもらっているそうで、ありがとうございます。
みなさんからは、アンちゃんと呼ばれているそうですね。気持ちはよくわかるのですが、そうではなくても娘はあんころ餅体型のことは気にしていて、ちょっと自分を卑下しすぎているところがあって、その呼び方は大丈夫なのかと要らぬ心配をしてしまいます。そうなの、思いやりもある良い娘なんですけど、一つのことが気になるとグジグジ悩むところがあって大変なんです。
よく和菓子を買ってきてくれて一緒に食べています。和菓子の世界って、奥深いんですね。杏子がいろいろと蘊蓄を教えてくれます。全部先輩方の受け売りみたいなのですが、この前ひとりで調べていて何か生き生きとしていました。タンブラーに何か淹れて朝早く出て行ったりして。あの子もそろそろお年頃なのかしら。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
あ行 フィクション
- 感想投稿日 : 2020年8月11日
- 読了日 : 2020年8月11日
- 本棚登録日 : 2020年8月11日
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