ひとが、病や死に直面するというのは、ドラマや小説のようなものじゃない。(略)医療や障害、難病、福祉、介護、社会保障、あらゆる膨大で煩雑な、延々の制度との格闘。ある日突然「奇襲」される、ビルマのジャングルでもなかなか出会わないような、手強い「モンスター」。(143p)
最も周辺化され、最も援助を必要とされている人々にとっての最良の支援は、政治的な構造を変革することなしには実現しない場合が多いのではないだろうか。(211p)
この「モンスター」を少しでも「ハムスター」に近づけようと、大野更紗さんは、一度読んでも二度読んででも理解出来ない「難病」と闘いながらもこの様な本を出して、社会に訴える闘いを始めた。文体はあくまで明るく、内容はリアルに悲惨に。
例えば、身体障害者手帳の申請でも、難病の内容などは関係ない、手足があるかないか、機能しているか、それだけを測るのである。難病患者がどんなに苦しくても耐え続けなくてはならないワケがこんな処にもあると云う。
障害者のためのサービスは自治体によって「千差万別」らしい。
また、私も親類の介護認定で怒りを感じ得なかったが、必要不可欠の「主治医の意見書」、頼りの医師がホントにいない、という事実がある。大野更紗さんも頼りにしていたクマさん医師にほとんどの支援項目に「必要ない」とされていて、医局に怒鳴り込む。すると医師は「今忙しい!医学的に正しい事を書いた!本人に聞く必要ない!」と答えたのである。確かに、本人に聞く必要はない。しかし、医師は患者の「生活の苦しみ」を「知らない」人種なのである。その人種に、命の綱の「介護認定」に関わらせる事の矛盾‼あゝ思い出しただけで頭にくる!
- 感想投稿日 : 2012年9月13日
- 読了日 : 2012年9月13日
- 本棚登録日 : 2011年8月23日
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