なぜ君は絶望と闘えたのか

著者 :
  • 新潮社 (2008年7月16日発売)
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本棚登録 : 591
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被害者の夫である本村さんの視点で事件発生前の本村さんの生い立ちから始まり、事件後、本村さんがどう裁判を通して事件と向き合ってきたのかというのを時系列に事実をもとに淡々と書かれています。
また同時に加害者(被告)のほうも裁判での証言などで人物像が事実に基づいて客観的に書かれています。
さすがにノンフィクションだけあって淡々とした事実が逆に生々しくて話に引き込まれるとともに内容に圧倒されました!
本村さんの長い裁判を通した一貫した使命感やその真っ直ぐなメッセージが司法や法律を変えていくだけの力を持っていたこと、但し、本村さん1人の力ではなく、それを支えたたくさんの人々の存在が非常に大きかったことが、とても印象に残りました。
死というものに向き合うことで、家族の痛みや生きることの尊さの意味を知るというのは深かったですね。
この事件を通じて、日本の抱える司法制度の問題や被害者家族保護よりも加害者擁護(更正)が優先されるような、ある意味、民主主義へのアンチテーゼに踏み込むまで社会問題とした本村さんの影響力(姿勢)に脱帽です。
また作者の門田隆将の作品は「甲子園への遺言」に次いで2冊目となりましたが、両方ともノンフィクションならではのリアルさがハンパなく、内容的にもグイグイ胸に刺さる作品ですね!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 事件
感想投稿日 : 2014年10月23日
読了日 : 2012年3月2日
本棚登録日 : 2012年3月30日

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