羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2004年11月15日発売)
3.69
  • (1278)
  • (1646)
  • (2616)
  • (178)
  • (27)
本棚登録 : 16682
感想 : 900
5

「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」に続く鼠三部作の最後の物語。上記二冊とは異なり、断片的な物語から、断続的または連続する物語に変化した。抽象的な表現からフワフワした物語が、今作は回りくどいが理解は出来る優れた表現が増え、ある程度筋道のある展開がされる物語になった。そのためか全体の雰囲気が厚みが増し、拡大して、感情的な記述がかなりダイレクトに伝わるように変化した気がした。「1973年のピンボール」でも悲しみに重きを置いたストーリーになっていたが、今作は今のところ、マイルドに、それでも要所を突く描き方がとても気持ちいい。
冒頭の別れから、海が埋め立てられ景色が変わったことを知る場面や仕事を離れること、変化が常に悲しみを帯び、喪失というものが割合多い反面、ビジネス小説の様な緊張感のある会話もあり、幅広さを感じられる一冊だった(それも上巻に過ぎないが)。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2016年1月13日
読了日 : 2015年11月30日
本棚登録日 : 2015年11月22日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする