いわゆる、ジュブナイルホラーのアンソロジーなのだが、ネットの地元図書館のサイトで予約した時には、児童書ということに気付かなかった(表紙の、いかにもな骸骨はいったい)。
読んでみて全然怖くないし、その割に、伏線とオチの付け方は妙にしっかりしてるな、なんて思ってたら、そういうことだったのね。
ただ、怖くないというのは、あくまで大人の私が、そう思うだけであって、子供心にどう思うかは、何とも言えません。まあ、ホラーだけではなく、少々奇妙だったり、冒険ものだったりの、異世界感が含まれていて、退屈な毎日に飽き飽きした少年少女が、ちょっとした刺激を楽しむ感じといえばいいでしようか。その中には教訓めいた話もあるので、バラエティに富んではいるが、純粋なホラーものとしては、微妙かもしれません。ただ、物語としては、しっかり楽しめるものになっていると思います。
それから、話題性と言えば、「図書館脱出ゲームシリーズ」の「クリス・グラベンスタイン」と「サーティーナイン・クルーズ・シリーズ」の「ピーター・ルランジス」が作品を提供していることだと思います。
前者の作品は、実在の人物も登場するサービス精神と、限られた持ち物と学校で習った知識を上手く活用して立ち回る、ドタバタした爽快感がたまらない、アメリカ版のび太の冒険もの。
後者は、SF要素の強い、あり得なくもないような独自の世界設定や、表裏別々の顔を持つ意味合いに、隠喩めいたものを感じさせられ、更に得体の知れぬラストに、この作品集、唯一の恐怖を感じました。
ちなみに、この絶叫コレクションシリーズは、あと
「不気味な叫び」と「消えない叫び」もありますので、興味のある方はどうぞ。
- 感想投稿日 : 2021年11月9日
- 読了日 : 2021年11月9日
- 本棚登録日 : 2021年3月28日
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