深夜プラス1 (ハヤカワ・ミステリ文庫 18-1)

  • 早川書房 (1976年4月1日発売)
3.74
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本棚登録 : 1113
感想 : 106
3

主人公は昔馴染みの弁護士から、ある実業家をリヒテンシュタインまで護送してほしいと依頼を受ける。もう一人の護衛、ガンマンのハーヴェイと顔合わせを済ませ、所定の場所に停められた車で護衛対象を迎えに行こうとしたが、車の中には見知らぬ死体が転がっていた。

台詞に演出、話の展開全てが映画的。近い作品で真っ先に思いついたのは『トランスポーター』だが、こちらの方がお兄さん。というか大先輩にあたる(初版は1967年)。

魅力的な箇所を挙げるとキリがないが……
・翻訳モノとは思えないようなキレのある文章
・台詞が会話として自然でウィットに富んでいる(映画的と感じる所以)
・ガンマンがアル中という不安要素がいいスパイスになっている
・次のページでどんなトラブルが待ち受けているか分からない緊張感がある

上記の通りべた褒めなのに★3なのは理由がある。
・話の大筋は王道に沿っているので色々読めてしまう
・絡みがそれほどなかった男女が惚れ合う(悪い意味で映画的)
・自然な会話の弊害とでもいうか、時折誰の台詞かわからなくなることがある(やたら相手の名前を呼んだり、語尾に特徴があったりしないので)
・ラストがいまいち

それでも小数点までつけられるなら★3.5としたいぐらいには面白かった。
古い作品ではあるが携帯やスマホ、電子機器があまりない時代という点さえ頭に入れておけば、50年以上経った今でも遜色なく楽しめる作品だろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: サスペンス
感想投稿日 : 2024年2月11日
読了日 : 2024年2月11日
本棚登録日 : 2024年2月10日

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