Arknoah 1 僕のつくった怪物

著者 :
  • 集英社 (2013年7月5日発売)
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感想 : 99
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兄弟のいじめ描写が、もっとえぐいことになるのかと思ってました。冷静にえぐさを描くのが、昔の印象なので。

異世界に紛れ込んだ兄弟。自分の作り出した怪物を退治しないと、元の世界には戻れない。
作り出したといっても、異世界に紛れ込んだ時点で、勝手に生成されるので、本人達には自覚ないです。そうと教えられて初めてわかる。
大抵は、自分のコンプレックス(負の側面)が怪物として具現化するようですね。

弟の怪物。
これは、わかりやすい。破壊衝動の権化。自分のいる世界を壊してしまいたい、という衝動の具現化。

兄の怪物。
こちらは、わかりにくいです。

世界を壊したい、という根っこの衝動は弟と同じだろうとは思う。その表現・発露が、わかりにくいかな。

弟はシンプル。とにかく破壊破壊の連続攻撃。形あるものを壊すという。
兄は複雑です。世界の存在している拠り所を破壊しようとしています。世界が成立している根源的なところを破壊。

兄の方が、ゆがんでしまってますね。表面上、そうは見えないけども。ココロの奥底によどみによどんだ、ヘドロのようなものからできた怪物です。

怪物を倒さなければ、元の世界に戻れない。怪物を倒さないと、異世界の秩序が保てない。強制救済処置として、ハンマーヘッドがいるわけです。
自分の心と向き合えば、元の世界に帰れる。向き合えないと、死神ハンマーヘッドに処置される。

弟は元の世界に帰り、兄は異世界にまだ残りました。やはり、ゆがみは兄の方が厄介なんでしょう。
怪物退治して、めでたしめでたし。そうは兄の場合ならないんだろうな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年7月30日
読了日 : 2013年7月30日
本棚登録日 : 2013年7月29日

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