「カササギ殺人事件」アンソニー・ホロヴィッツ
誰かの前書きがあって
「名探偵アティカス・ピュントシリーズ カササギ殺人事件」アラン・コンウェイ
ん?アラン・コンウェイ?
もう一度表紙を見る
「カササギ殺人事件」アンソニー・ホロヴィッツ
アラン・コンウェイって誰?
思わずググってしまった。小説の中に小説が入ってるの?その中の小説と本自体のタイトルが同じって事?
上巻全てがその「小説内小説」。アガサ・クリスティへのオマージュミステリーらしいがクリスティを「そして誰もいなくなった」しか読んでない私にはどのあたりがオマージュなのかはっきり分からなかった。が、小説の舞台は1950年代なのに19世紀かと思うような昔ながらの英国人気質の人たちがイギリスの美しい田舎でお互いを牽制しあいながら暮らし、平和に見える中で二つの大きな殺人事件が起き、誰もが何か隠し事をしているようの見える中、ポワロのような?(昔テレビで見た)アティカス・ピュントという名探偵が乗り込んでいく。
英国の田舎の美しい景色やプライドの高さなどそんなイギリス小説の世界にたとえ「ミステリ」の要素がなかったとしても魅力を感じる。登場人物の誰もが自分だけの秘密を抱えていそうで、実は一致団結して何か秘密を隠していそうにも見える。それにしても、財産を一番上の子供が全て引き継ぐというイギリスの法制度による悲劇というのはたしかオースティンの小説でも見られたと思うのだが、1950年代でも続いていたのか。(今はどうなのだろう)良くも悪くも伝統のある国は違う。まるで相続した財産と生まれながらの身分で人格まで肯定、否定し、上流階級の人間が労働者を蔑むというのもオースティンの小説の世界と同じでびっくりした。
初めのころに出ていた「怪しい人物」が私が思っていた人間であったのでちょっと嬉しい。上巻の最後で一つの殺人事件の犯人が明かされ、その理由と二つめの殺人の犯人についてはどうやら下巻を読まないと分からないらしい。
ところが、下巻をちょっと読んでみると、上巻のアラン・コンウェイ作「カササギ殺人事件」の続きは読めないことが分かった。そんなのって悲しい!私は「カササギ殺人事件」の出版社編集者と共に激怒した。
でも、ちょっと待って。アラン・コンウェイ作「カササギ殺人事件」はアンソニー・ホロヴィッツ作「カササギ殺人事件」の一部分だよね。だからアンソニー・ホロヴィッツには裏切られてないってことだよね。
小説の中の小説と共に楽しめるなんて、まるで餡子も皮も美味しいお饅頭みたいなもんだね。
下巻を少し読んでみたら、なんかアラン・コンウェイの「カササギ殺人事件」とアンソニー・ホロヴィッツの「カササギ殺人事件」がリンクしているような…。どこまでが餡子でどこまでが皮だろう?
- 感想投稿日 : 2024年1月7日
- 読了日 : 2024年1月7日
- 本棚登録日 : 2024年1月7日
みんなの感想をみる