カササギ殺人事件〈下〉 (創元推理文庫)

  • 東京創元社 (2018年9月28日発売)
3.81
  • (483)
  • (866)
  • (541)
  • (116)
  • (29)
本棚登録 : 6751
感想 : 697
5

 ページを繰る手が止まらなかった。っというか、目と手がページに吸い付けられて離れなかった。お陰で、朝の4時までかかって一気に読み終えた。連休で良かったあ。でも今日はゴミの日。何とか7時に起きて、ゴミだけ出してまた寝た^^。
 そりゃあ、だってね。上巻の最後で作中作「カササギ殺人事件」の殺人犯が分かったと言っているのに、下巻を開けてみれば、その肝心の最後の部分の原稿がない!!しかも作者のアラン・コンウェイが死んだとなりゃあ、この小説の語り手でありアラン・コンウェイの「アティカス・ピュントシリーズ」の出版社の編集者スーザンと共に血眼になって探すでしょう!失われた原稿を。
 ところが、スーザンが「失われた原稿」を探し始めるとどうしても違和感に気づく。作者アラン・コンウェイは本当に自殺だったのか?と。そしてどうしても真相を知りたくてアラン・コンウェイの身辺の人の話を聞くうち、その一人一人が作中作の「カササギ殺人事件」の登場人物に重なり怪しい。調査を重ねるうちに、スーザン自身にも殺意の手が伸びているような危機感を感じる。
 すっごい!これって「マトリョーシカ・サスペンス」じゃん!
 ひょっとしてアランは作中作「カササギ殺人事件」の中で、何か示唆してる?
 最後には栗饅頭の極上の皮と餡子の中から、大粒の栗にたどりつけた満足感がありました!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年1月8日
読了日 : 2024年1月8日
本棚登録日 : 2024年1月8日

みんなの感想をみる

コメント 3件

たださんのコメント
2024/01/08

まこみさん
一気読みの完読、お疲れさまでした(^∇^)
正直言って、事件の真相は全く覚えていないので、これ以上、深い話は出来ません(^^;)
ただ、まこみさんのレビューをきっかけとして、昔の自分のレビューを読んだ時、アラン・コンウェイの作家性といいますか、結局、アランの真の素顔を知る人間っていたのだろうか? といったことを思い出し、それと、当時のイギリス社会の鬱屈した一面を書かれていた、まこみさんの前編のレビューとが響き合ったような気がしまして、改めて、色々と考えさせられました。ありがとうございます。
最後は皮と餡子の件も納得出来て、良かったですね(*'▽'*)

Macomi55さんのコメント
2024/01/08

たださん
なんだかねー。作家の内面って複雑なんだなと知りました。アンソニー・ホロヴィッツ自身もそうだったのかな?だからこそ、とうり一遍で終わらせない、古典もオマージュした上質ミステリーを生み出したのかなっと。
ところで、アンソニー・ホロヴィッツ、アラン・コンウェイ、アティカス・ピュント、みんな「あ」で始まるからややこしいですね。そこにまで何か隠されてるのかと思ってしまいます。

たださんのコメント
2024/01/08

まこみさん
作家の内面の複雑さ、ありそうですよね。作家も人間ですし、他人に見せる顔と、一人になったときのそれとの違いもあるのかな、なんて気になりましたし、アランの求めていたものなんか、まさにそれが関係あるのかなと感じました。
それから、人物の名前について、推理ものではよくある、アナグラムとか勘繰ってしまいますよね。確かに何かありそうな気もしましたが、もはや覚えていない(^^;)
ホロヴィッツの作品は、いずれも人気が高いから、却って、読むのを後回しにしている内に、何となく、もういいかななんて思ってましたが、ちょっと考えが変わってきましたよ。
久しぶりに読んでみようかな(^^)

ツイートする