ジョン・マン1 波濤編 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2014年10月15日発売)
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感想 : 22
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幕末維新の時代に、通訳者として活躍した、ジョン・万次郎。
その万次郎を主人公にした歴史小説シリーズの第1巻です。

第1巻ではまず、幼少時代を過ごした土佐国中ノ浜での万次郎の生活、そして後に、漂流した彼を救うことになる、米国捕鯨船の出航に向けた準備のシーンが、交互に描かれていきます。

貧しく、また周りの漁師たちの厳しい仕打ちにさらされながら生活する少年、万次郎。
しかし、視力と機転の良さで、初出航する新造漁船に乗ることになります。

いっぽう、米国国民の生活に広く広まった鯨油。
その鯨油を取る捕鯨船は、東海岸ニューベッドフォードの花形産業として描かれています。

なかでも、優秀な船長に率いられるジョン・ハウランド号は、投資家や地元の関連産業に携わる人々の期待を背負って、遠く日本の領海近くまで、鯨を求め航行します。
この第1巻では、そのジョン・ハウランド号に、万次郎が発見されるまでが、描かれています。

この作家さんの作品を読むのは初めてなのですが、高知県出身の方なのですね。
万次郎が生まれ育った土地や漁師たちの気質が、繊細に描写されているなあと、感じました。

そして、米国捕鯨船視点での描写があることで、アメリカ国民が鯨という生物をどのように捉えていたか、日本という国そして日本人にどのようなイメージを抱いていたか、複眼的に理解することができました。

書店では第2巻までの文庫版がならんでいたので、続けて読んでみることにします。

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読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史・時代小説
感想投稿日 : 2015年5月24日
読了日 : 2015年5月24日
本棚登録日 : 2015年5月24日

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