YA! アンソロジー エール (YA! ENTERTAINMENT)

  • 講談社 (2013年9月26日発売)
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本棚登録 : 80
感想 : 10
4

中高生の繊細な時期を描いた短編小説集。
アンソロジーなので著者は異なるが、小中高校生にも読みやすいようにシンプルな文体で構成されている。
部活や恋愛など甘酸っぱく爽やかな思春期らしい話もありながら、最後の話「リーシュコード」はなかなかに重い。
繊細な年頃ならではの闇や、個人である前に大人―主に家族によって人生を変えられていく様が描かれている。
個人的には「時限の友」という物語が強烈だった。消滅性人格転換の障害を持つ友人と主人公の話で、記憶を忘れていく友と何度も友になる主人公の真摯な姿勢が、素敵だとかで済ませられない痛々しさを伴い、とにかく切ない。その姿は、人生の美しさと儚さと理不尽さを凝縮させたよう。下手な恋愛小説よりも切なく、安い青春小説よりも真の友情が描かれていた。
最初の二話を読むと、「自分もあの頃は良かった」と思わず零したくなりそうで、逆に最後の話を読むと、「本当はそんな陳腐な言葉で片付けられる時期じゃない」と言われているような気にもなる。
共通するのはやはり「エール」。葛藤する主人公たちや誰かを応援したくなったり、自分も頑張ろうと思える読後感が良い。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 絵本,小説,エッセイ
感想投稿日 : 2016年2月12日
読了日 : -
本棚登録日 : 2015年4月26日

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