近代書き言葉はこうしてできた (そうだったんだ!日本語)

著者 :
  • 岩波書店 (2013年8月24日発売)
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本棚登録 : 48
感想 : 5

田中 牧郎 著

本体1,700円+税
刊行日:2013/08/23
9784000286268
B6 並製 カバー 212ページ
在庫あり

1895年,多彩なジャンル,一流の執筆陣で創刊され,日本社会の近代化に大きな影響を与えた総合雑誌『太陽』.大正期までの『太陽』をデータベース化し,生き物のように変化しゆく言葉の様相を,最新の手法で映し出して行く.言文一致,新語の誕生と廃れ,似た意味を持つ言葉の縄張り争いの過程が,つぶさに明らかになる.

■編集部からのメッセージ

「近代書き言葉はこうしてできた」,こんなダイナミックなタイトルを使えるのは,全体で1450万字の規模だという『太陽コーパス』を汗水たらして仲間と一緒に作り上げてきた著者の本だからです.文章をデータにしたうえで,様々な情報を文章中にタグ付けして書き込んでいく作業は,相当に骨を折る仕事だと思います.
 明治を生きた夏目漱石の作品を読む時,ときどき現代の自分たちが使う言葉と違うな,と感じることがあります.その,なんとなく違うという感覚のわけを,この本では数量的に確かめることができます.
 また,日常的に使っている言葉,例えば「子育て」という言葉が,100年前にはほとんど使われていなかったこと,「医療費抑制が課題だ」のような「課題」という言葉の用法が新しいものであることも,統計によってわかる面白い事実です.
 国立国語研究所のウェブサイトでは,さまざまなデータベースが公開されていますから,この本を手にしながら利用してみると,きっと愉快な発見があることと思います.

著者略歴
田中牧郎(たなか まきろう)
国立国語研究所言語資源研究系准教授.
1962年島根県生まれ.1989年東北大学大学院文学研究科博士課程後期退学.昭和女子大学専任講師,国立国語研究所言語問題グループ長などを経て2009年から現職.
専門は日本語学(日本語史・語彙論).現在は主に,コーパス構築による日本語史研究と,難解用語の言語問題の研究を行っている.
著書に,『雑誌「太陽」による確立期現代語の研究』(共著,博文館新社,2005年),『病院の言葉を分かりやすく――工夫の提案』(共著,勁草書房,2009年),『外来語研究の新展開』(共著,おうふう,2012年)など.
https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b257527.html

読書状況:読みたい 公開設定:公開
カテゴリ:  分類保留
感想投稿日 : 2020年6月15日
本棚登録日 : 2020年6月15日

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